関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O-001 肩関節屈曲動作における肩甲骨と胸椎の関係
鶴岡祐治糸部恵太東史朗真鍋雅春陣内雅史豊田敬
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p. 1-

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抄録

【はじめに】肩関節屈曲動作で肩甲骨運動は重要であり上腕骨との関係で肩甲上腕リズムがしられている。肩甲骨は胸郭上に浮遊するため胸椎運動も関係する。甲斐らは上肢挙上時に胸椎伸展運動が起こると報告している。本研究の目的は肩関節屈曲時の肩甲骨と胸椎の関係を分析する事とした。

【方法】対象は肩関節や胸腰椎に既往のない健常男性11 名。被験者に実験主旨及び方法について説明し同意を得た。計測はデジタルカメラを使用し、マーカーは上腕骨外側上顆、肩峰、肩甲棘三角、下角、C7、Th7、Th12 とした。計測肢位は骨盤中間位で椅子坐位とし3 秒間で右上肢最大屈曲を3 回実施した。解析はImage J を用い矢状面上で行い、肩関節屈曲角は体幹と上腕骨外側上顆-肩峰、肩甲骨後傾は垂直軸と肩甲棘三角-下角、胸椎後弯角はC7-Th7 とTh7-Th12 の成す角とした。測定変数は屈曲全体0 度~最大挙上、屈曲前半0~120 度、後半

120 度~最大挙上とし、それぞれの肩甲骨後傾、胸椎後弯角の変化量の平均値を算出した。統計処理は屈曲全体、前半、後半の肩甲骨後傾と胸椎後弯角の変化量の関係をスペアマンの順位相関係数を用いて検定した。

【結果】 屈曲全体で肩甲骨後傾26.6±4.6、胸椎後弯角5.8±2.8、0~120 度で肩甲骨後傾17.7±3.4、胸椎後弯角1.9±2.3、120 度~最大挙上で肩甲骨後傾8.9±3.5、胸椎後弯角3.8±6.4 であった。0~120 度の肩甲骨後傾と胸椎後弯の変化量の間で有意な相関がみられた(r=0.83、p<0.05)。

【考察】 屈曲前半の肩甲骨後傾と胸椎後弯角の間で有意な相関がみられた。屈曲前半で肩甲骨が先行して動き、胸椎が緩やかに伸展していた。屈曲後半はLanz らが胸椎伸展は肩甲骨の基底面を後傾させ上肢挙上を補助すると報告しているが、今回は肩甲骨と胸椎をバランス良く動かすタイプ、肩甲骨を動かすタイプ、胸椎を動かすタイプがみられため、相関がみられなかったと思われる。今後この関係性を明らかにしていきたい。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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