関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O-011 4 年制大学の理学療法学科に在籍する学生の自己教育力
青柳達也丸山仁司菅沼一男金子千香佐野徳雄五味雅大齋藤孝義
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p. 11-

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抄録

【目的】理学療法教育ガイドラインには,卒前教育が果たす役割として自ら学ぶための能力と習慣を形成することであると述べられている.このことから理学療法教育においても自己教育力は必要な要素である.本研究の目的は理学療法教育における自己教育力の変化について調査することを目的とした.

【方法】対象は4 年制大学理学療法学科学生1~4 年生の計307 名とした.自己教育力調査表を用い,集合調査法で10 月に調査を実施した.自己教育力尺度は側面I(成長・発展への志向),側面II(自己の対象化と統制),側面III(学習の技能と基盤),側IV(自信・プライド・安定性)の下位尺度からなり,各10 項目の設問で構成される.はい2 点,いいえ1 点の2 件法で回答し,その合計得点が高いほど自己教育力が高いことを示す.統計学的手法として,自己教育力各側面の1~4 年生の学年間比較をKruskal-Wallis 検定を適用し,主効果が認められた場合はMannWhitney のU 検定を実施し,Bonferroni の補正を行った.統計ソフトはSPSS Statistics21 を用い,有意水準は5%未満とした.本研究はヘルシンキ宣言に従い,研究参加同意を得るため,調査主旨と研究内容,研究参加は任意であることを説明し,同意署名を得た.

【結果】自己教育力各側面の学年間比較の結果,側面I,側II,側面III の得点において,1 年生が3,4 年生と比較して有意に高値を示した.

【考察】側面I は目標の感覚・意識と達成・向上の意欲という2 つからなり,側面II は自分自身の現状と可能性,課題等を認識し,自分自身が選びとった方向へ自分自身が働きかけるという構えと能力を意味している.このことから,1 年生は理学療法士という目標に対して,自らを成長,発展させることへの意識が高く,目標達成への意欲が高いことが示唆された.しかし,学年進行とともに自己教育力が低下していることが示唆された.今後は自己教育力低下に影響を及ぼす要因の検討が必要であると考えた.

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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