関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-016 造血幹細胞移植患者介入後の骨格筋量の推移
深田実里樋口謙次桂田功一佐々木健人齋藤夕紀平野健大保木本崇弘山田健治木下一雄竹川徹安保雅博
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p. 200-

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抄録

【はじめに,目的】 造血幹細胞移植患者は原疾患や前処置,移植後合併症の影響により,骨格筋の異化亢進が生じやすく,筋量の減少が惹起されやすい. 今回,介入1 ヶ月後に筋量の向上を認めたが,その後は緩徐に低下した症例を経験した.その原因を治療内容,経過,血液データから考察したので報告する.

【症例紹介】 症例は40 代女性で診断名は急性リンパ性白血病.X-3 年に発症し寛解したが,X-8 ヶ月に再発.X

2 ヶ月に同種骨髄移植を施行.その後GVHD が出現しステロイド内服が開始され,X 日にPT 開始.開始時は身長

157cm ,体重63kg ,SMI8.0kg/m<SUP>2</SUP> ,WBC3.1×10^3/μL ,Hb8.1g/dL ,PLT52×10^3/μL ,

Alb3.1g/dL,CRP0.1mg/dL,移動能力は点滴棒と手すりを支持してトイレ歩行が可能だった. 【説明と同意】 症例には公表の有無,個人情報の取り扱いについて説明し同意を得た.

【経過および結果】 理学療法は筋力増強運動,歩行練習,自主トレ指導を中心に実施した.介入1 ヶ月後,体重

67kg,SMI9.3kg/m<SUP>2</SUP>に増加し,移動能力は病棟内杖歩行レベルとなった.1 ヶ月以降SMI は緩徐に低下を認め,4 ヶ月後は8.6kg/m<SUP>2</SUP>であった.CRP は3 ヶ月後には6.6mg/dL まで上昇した.

【考察】 本症例は前処置による有害事象や,ステロイド投与によって筋量や活動量が低下していた.一般的に悪液質や合併症の影響で筋タンパクの同化と異化の均衡が崩れやすいのに対し,介入1 ヶ月後にSMI の向上を認めた.介入によって,随意運動の頻度が増加し運動単位の増大が図れたことや,自主的に歩行練習を行うことで活動量が増加したと考えられる.1 ヶ月以降はSMI が緩徐に低下したが,CRP 高値に伴い異化の割合が増加し,筋の分解が亢進したと考えられる.今後はCRP に留意し負荷量を考慮した介入が必要である.

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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