主催: 公益社団法人日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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【目的】随意運動介助型電気刺激装置は、従来の電気刺激装置よりも周波数が低く、低電流で施行するために主観的不快感につながる危険性がある。本研究では、随意運動介助型電気刺激装置を用いて舌骨上筋群へ経皮的電気刺激を行う際の電流強度が主観的不快感におよぼす影響を検証することを目的とした。
【方法】 対象は、健常成人10 名(平均年齢27.3±3.5 歳、BMI21.4.±2.3)とした。方法は、背臥位にて電気刺激
(川村義肢社製MURO Solution)を行いながら、頭部反復挙上運動を30 回3 セット施行する課題と、頭部挙上位保持1 分を3 セット施行する課題の2 種類とした。電流強度は痛みなく耐えうる最大値とし、この電流値を計測した。刺激部位は、舌骨上縁から2cm 上縁、正中から2cm 外側とした。主観的不快感の評価として、施行後にアンケートを実施した。項目は、熱さ、痛み、痒み、吐気、眩暈、頭痛とし、4 段階(なし、ややあり、あり、強くあり)とした。客観的指標として、施行後に刺激部位の写真撮影を行い皮膚の状態を比較し、施行前後に血圧と1 分間の心拍数および呼吸数を計測した。血圧、心拍数、呼吸数において、実施前後の値を対応のあるt検定にて解析した。有意水準は5%とした。
【説明と同意】 すべての被験候補者に対し研究内容を口頭にて説明し、同意を得られた場合のみ実施した。
【結果】 電流強度は、両課題ともに最小値0.09±0.01mA、最大値0.18±0.02mA であった。アンケート結果は、両課題ともに不快感の訴えは認められなかった。両課題ともに、皮膚状態、血圧、心拍数に差はなかった。呼吸数に施行後の有意な増加を認めた。
【結論】 両課題とも主観的不快感がなく施行することが可能であった。一方、両課題とも呼吸数の増加を認めた。これは息を止めて頭部挙上運動を行うためと考えられ、頭部挙上時に呼吸法を指導する必要性が示唆された。