関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-088 「AIDET」は本邦で通用するか? ~JCI 認証病院としての新たな取り組み~
根本敬
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キーワード: AIDET, JCI, マネジメント
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p. 272-

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抄録

【はじめに】湘南鎌倉総合病院(以下、当院)では世界で最も厳しい基準を持つ医療施設評価機構であるJCI(Joint commission international)の認証を得ている.医療の質や安全性の担保と、この継続的・組織的な改善活動が求められるなか、2016 年度の新規的な取り組みとして「待ち時間のクレーム低減化」を掲げ、この遂行にあたり「AIDET」の導入を決定した.

【目的】AIDET の考え方を紹介し、本邦の病院組織における患者満足度向上の一助とされたい.また実施上の問題にかかる、社会背景や医療文化に関しての提言を書き添える(本稿は当院倫理委員会の承認を得ている).

【AIDET とは】1.概要 顧客サービスを生業基盤とする企業組織において職員の行動規範を示したもので、本邦では医療機関単位での体系的導入自体がほぼ皆無でありエビデンスは確立されていないが、国外では奏功例が報告されている.後述に表されるフレームワークを患者に提供することで尊敬を示すと共に信用を確立し、相互の臨床結果や満足度を向上させる手段である.2.内容と意義 頭文字AIDETは職員の患者応対法として、A → Acknowledge

(挨拶・歓迎)、I → Introduce(自己紹介)、D → Duration(時間の説明)、E → Explanation(治療内容の説明)、T →Thank you(感謝)、を示す流れの遂行である.来院中に患者が感じる、治療への不安・待ち時間・医療者との関係等、しばしば曝されうる多面的ストレスへの緩和策として期待される.

【提言】本邦での病院マネジメント問題のひとつは、職員に対する帰属意識教育の欠如、社会的評価やその公開が普及していないことである.片や国外の先進的組織は、より良い組織構築のために職員個々にマネジメントへ協力するインセンティブが働いている点には着眼すべきである.加えてAIDET の内容を日本文化に合ったコミュニケーションツールとしてアレンジする柔軟性が必要であることに論争の余地はない.

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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