関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-098 保険外サービスがもたらすリハビリテーションへの効果-症例報告-
青柳法大大久保智明
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キーワード: 保険外サービス, 目的, ADL
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p. 282-

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抄録

【はじめに】当社は、外出困難な方への訪問美容やリテールサービスを担い、訪問リハビリテーション部門(以下、訪問リハ)を起ち上げると、併用される方も増加してきた。今回、保険外サービスの利用が訪問リハに好影響を与えた事例について報告する。

【症例紹介】S 様、85 歳女性、左大腿骨頸部骨折後に回復期病院を経て、サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)に入居。介入時は、居室内ADL 自立が目標だったが、環境変化から自主練習表やヘルパー記録を破るなど不穏行動を認めた。そのため、できるADL は自立レベルも、ヘルパーを要した。しかし、結婚式のために訪問美容を利用後、『きれいになったでしょ』と次第に発言が変化し、以前から利用していた美容室へ通いたいと外出希望も聞かれた。現在では不穏行動も落ち着き、屋外杖歩行獲得という明確な目標ができた。I 様、81 歳女性、サ高住に入居。

胆管炎で入院し廃用症候群に陥り、杖歩行獲得を目的に介入。歩行器歩行は可能だったが、しているADL は車いす介助であった。昔から買物が好きであり、リテールサービスを利用し、車いすでは商品が見づらいからと次第に歩行器歩行で買い物をするようになった。それが自信となり、食堂までの歩行器歩行は自立された。

【考察】今回の症例は、環境変化や自信のなさから生活範囲を狭めていたと考えられる。しかし、外出や買い物をといった目的ができたことで訪問リハの取り組みやADL に好影響を及ぼしたと考えられる。訪問リハをされる方で特に施設入所中の方は、活動性が低い傾向にあり、当社のようなサービスを提供できることは、一つのきっかけとしてADL 向上に結び付きやすいと考えられる。ADL 向上を図るには専門職の連携のみならず、保険外サービスを提供、提案することも訪問リハには効果的であると考えられる。

【倫理的配慮、説明と同意】報告にあたり、当社における倫理審査委員会の承認、ご利用者様の同意を得ている。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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