関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O-033 免荷式リフトPOPOによる段階的な免荷量設定での歩行練習~過剰努力を生じない歩行を目指 して~
渡部真由高橋良太池谷聡毅橋爪義隆
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p. 33-

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抄録

【はじめに】脳卒中患者の歩行は課題の難易度から非麻痺側の過剰努力が生じる等,検討の余地が残る.今回,動作時過剰努力により介助量増加を呈す症例を担当し免荷式リフト(以下POPO)を用いた運動学習にて良好な結果が得られた為報告する.本人・家族に趣旨説明を行い同意を得た.

【症例紹介】80 歳代女性.診断名は左橋梗塞.発症後54 病日に当院入院.BRS 右上下肢I だが股関節の随意性をわずかながら認めた.MMT 左上下肢4.注意障害・脱抑制を認めた.立位中等度介助.ADL 全介助でFIM44 点.動作全般に非麻痺側上下肢の過剰努力が生じ,麻痺側下肢の立脚は膝折れ,振り出しは困難であった為,手すりを使用したステップは全介助.

【介入のきっかけ】股関節・骨盤・胸郭が鉛直線上に位置するよう徒手的に胸郭を把持,免荷する事で過剰努力軽減,遊脚の協力動作が出現.上記よりPOPO を使用し姿勢を鉛直線上に保持し残存する下肢支持性範囲内まで免荷する事で,過剰努力を軽減した上で麻痺側の振り出しが促せると仮説.

【介入】全体重の75%免荷にて過剰努力・膝折れ消失,遊脚の協力動作出現を認めた事から75%免荷から歩行練習を開始.麻痺側下肢の振り出しや支持性,過剰努力の程度で免荷量を調整.介入2 週間後21%免荷にて上記反応が良好となり,杖歩行へ移行.

【結果】介入1 週間後,立位保持最小介助,排泄は2 人介助にて可能.介入3 週間後,BRS 右下肢II,移乗最小介助,排泄は1 人介助にて可能,FIM55 点.介入5 週間後,BRS 右下肢III,杖歩行最小介助,FIM61 点.

【考察】POPO により姿勢アライメントを鉛直線上に保持し,症例の残存能力範囲内で段階的に荷重量を調整する事で非麻痺側の過剰努力を伴わず麻痺側の随意運動を促す事が可能であったと考える.また再現性の高い介入を反復した事が高次脳機能障害を呈した症例に対して能動的な運動学習に繋がったと考える.非麻痺側の過剰努力や高次脳機能障害を呈した症例に対しPOPO による歩行練習の導入が有効であると考える.

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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