関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O-035 脳卒中患者に対しレール走行式追随型免荷リフト使用による歩行練習効果
谷津信乃
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p. 35-

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抄録

【はじめに】小脳梗塞により右片麻痺と四肢の運動失調を認める患者に対し, 軽介助下での歩行練習をおこなって

いた. しかし, 従来の歩行練習では転倒防止のため介助者が支え過ぎ, 自身のバランスを崩す状況に対する姿勢制御反応の出現を妨げていた. そこで今回, モリトー社製レール走行式追随型免荷リフト(SS-100)を使用し, 歩行不安定性改善のためアプローチした結果, 歩行能力の向上を認めたので報告する.

【対象】対象は70 歳代女性. 右運動麻痺はBrunnstrom stage 上肢4, 手指4, 下肢5, 体幹・右股関節筋群の低緊張と四肢の運動失調により, 右下肢立脚期に股関節屈曲・内転・内旋接地となりやすく, 方向転換時麻痺側後方へのふらつきを認めた. またバランス評価では, Berg Balance Scale(BBS)18 点と転倒の危険性を有し, 4 点杖歩行は軽介助レベルであった.

【倫理的配慮】本研究は所属機関における倫理審査委員会の承認を受け,研究内容を対象患者に説明し,書面にて同意を得た(承認番号 船H27-72).

【方法・結果】免荷機能は用いず自由歩行速度に合わせ, ハーネスを装着し, 免荷リフトを追随させた. また, 4 点杖を使用し横歩きや, スラローム歩行などの応用歩行練習を見守り下にて1 日20 分, 約3 週間毎日実施した. その結果, 歩行能力は4 点杖歩行軽介助レベルから4 点杖歩行見守りレベルに向上した. BBS は22 点であった.

【考察】レール走行式追随型免荷リフトを用いた歩行練習により, 歩行時に大きくバランスを崩すことに対し過剰な介助をおこなうことなく, 歩行練習が可能となった. これにより自身の四肢運動失調に対し, 姿勢制御を学習することが可能となり, 動的バランス能力の向上に繋がった. 結果歩行不安定性は改善し, 4 点杖歩行見守りとなったと考える.

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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