関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O-038 脳卒中片麻痺患者に対し機能的電気刺激療法と免荷式歩行訓練を併用し歩行能力改善を認め た一症例
桑田真理奈西澤賢人関根康文伊藤雅史
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キーワード: FES, BWSTT, 歩行
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p. 38-

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抄録

【はじめに】脳卒中治療ガイドライン2015 では機能的電気刺激(以下FES)、トレッドミル訓練共にグレードB で推奨される。我々は先行研究で脳卒中患者に対し表面電極型FES であるウォークエイド(TEIJIN 社製)を使用し10m歩行・TUG に有意差を認めた。今回、当法人老健に設置している可動式免荷装置アンウェイシステム(Biodex 社製)を使用した免荷式歩行訓練(以下BWSTT)と併用し歩行改善を認めた為ここに報告する。

【方法】症例は当院回復期でのリハビリ後、当法人老健へ入所となった60 代男性。脳梗塞(後頭葉~側頭葉)左片麻痺、発症から約11 か月経過、下肢BRSIII。移動能力はSLB にてT-cane 歩行監視レベルであった。プロトコルは先行研究を基に週3 回・4 週間、免荷量20%、トレッドミル速度は0.8~1.0km/h、時間は計10 分とした。効果判定として2 条件(BWSTT 前SLB のみとBWSTT 後SLB+FES)での10m 歩行を2 回計測した平均値とアンウェイ上で記録される項目を、介入時と4 週後に数値比較を行った。尚、本研究はヘルシンキ宣言に基づき倫理的配慮として研究の趣旨を説明し同意を得て行った。

【結果】BWSTT 前後の10m 歩行共に優位に歩行速度(秒)[前11.8、後12.4]・歩数(歩)[前3、後4]の改善を認めた。アンウェイ上の数値では、歩幅のばらつき(%)が[右9.22、左8.42]低くなり、立脚期時間(%)は[右58→53、左

42→47]となり50%へ近似した。

【考察】今回はSLB+FES を使用し背屈補助でなく電気刺激により生体筋活動での制御によって運動学習が図れ立脚期安定に繋がったと考える。また、BWSTT の効果として低負荷高頻度での規則的なステップ運動によりCPG 賦活、免荷下で対称性が改善した上で運動したことも麻痺側単脚支持期安定に繋がったと考える。これらの相乗効果により10m 歩行はいずれも10 秒以上速くなったと考え、翌日以降もcarry over される結果となり、FES+BWSTT の効果は歩行能力の向上に繋がることを示唆した。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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