関東甲信越ブロック理学療法士学会
Online ISSN : 2187-123X
Print ISSN : 0916-9946
ISSN-L : 0916-9946
第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
会議情報

口述
O-040 幼児期発症Guillain-Barre 症候群(GBS)の一例に対する理学療法の経験
仲里美穂間嶋満國田広規伊藤有希神子嶋誠
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 40-

詳細
抄録

【はじめに】GBS は幼少期から成人に至るまで幅広い年齢層で発症する疾患であるが、小児の報告例は少ない。また多くは近位筋優位に回復を認めるとされている。今回、四肢末梢から近位筋へと回復を認めた幼少期発症のGBS 例を経験し、対象となる児のご両親に本報告の趣旨を説明し同意を得たので報告する。

【症例】2 歳男児。上気道炎後に四肢脱力を認め、当院小児科に緊急入院。入院時、頸部を含めた完全四肢麻痺を示し、それまでの経過と髄液所見からGBS と診断され、入院日から5 日間免疫グロブリン静注療法施行。9 病日から理学療法(以下、PT)開始。

【理学療法(PT)評価と経過】初期評価では筋力は右手指の屈伸・両足関節底背屈がわずかに認められるようになっていたが、その他四肢・頸部・体幹では筋出力は認められなかった。また両下肢に触覚過敏を認め各関節最終可動域前後で疼痛を訴え、基本動作は全介助であった。PT では児の意欲を促し姿勢保持を中心に基本動作練習を施行し、17 病日で定頸獲得、21 病日に立位・歩行練習を開始、44 病日で長座位自立しLLB 装着下での立位保持が自立し自宅退院した。退院後は週2~3 回の頻度で外来でのPT を継続。下肢筋力の回復は著しく54 病日で裸足での立位保持可能、独歩が数歩可能となった。肩甲骨周囲や体幹筋力の回復は遅延し、PT では中枢部の筋力強化を積極的に取り入れ介入した。受傷から6 ヶ月たった時点で両下肢の過敏や疼痛は消失し、基本動作や独歩は自立した。

【考察】本症例は全身性に重度の筋力低下を呈し、頸部、下肢、上肢・体幹の順で、遠位筋から近位筋へと徐々に改善を認めた。姿勢に関しては座位・立位での遊びを好んでいたため、PT 介入当初から補装具を使用し児の意欲が高い座位・立位姿勢から動作展開を行った。その影響もあり、比較的早い段階で座位・立位が獲得でき、加えて近位筋の筋力強化を取り入れたことで基本動作や独歩獲得に至ったと考える。

著者関連情報
© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
前の記事 次の記事
feedback
Top