関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O-042 階段降段時の下肢回旋角度に対する足角の影響
長谷川亮之福井勉
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p. 42-

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抄録

【目的】階段降段時に膝関節痛患者は支持脚足部を外転させることが多く足角が膝関節痛に影響する印象をもつ。

本研究では階段降段時の膝関節回旋運動に着目し、足角が与える影響について検討した。

【対象と方法】対象は健常成人15 名(24.9±1.8 歳)とした。計測課題は20cm 台上からの降段運動とし、足部肢位は正中位(以下;n),n に対してtoe out5°,10°,toe in5°,10°の5 条件とした。関節角度は3 次元動作解析装置にて股,膝,足関節の屈曲,背屈角度を、加速度計積分値を用いて大腿下腿回旋角度を計測し、時間で正規化した。計測区間を立脚時間(以下;ST1~100%)とした。各条件5 回の内3 回目のデータを採用し、被験者15 名分のデータの平均値を得た。統計解析は対応のある一元配置分散分析を実施後、多重比較を行い危険率は5%未満とした。本研究はB 大学倫理委員会で承認され被験者に研究内容を説明し同意を得た。

【結果】足関節ではn, toe out5°,10°がtoe in10°に対し有意に背屈した(p<0.05)。大腿回旋運動はtoe in10° がn, toe out5°,10°に対し有意に外旋し(p<0.05)、toe in ではST70%付近から、toe out ではST85%付近から外旋運動が増大した。下腿回旋運動はtoe in5°がtoe out5°,10°に対し有意に外旋し、toe in10°ではn, toe out5°,10°に対し有意に外旋した(p<0.05)。toe in では経過に連れ外旋運動が、toe out では内旋運動が生じ、ST85%以降toe out は内旋運動が停滞した。膝関節回旋運動に有意差を認めなかったがtoe out はn, toe in よりも小さな内旋位を呈した。

【考察】toe out の降段運動は足関節背屈運動を大きくするが、大腿回旋運動を制限し膝関節屈曲時の内旋運動を生じ辛くすることが考えられた。大腿下腿回旋運動の結果より、大腿が下腿回旋運動に対応した運動を示すことが考えられた。ゆえに、大腿回旋運動が膝関節に対する水平面上での負荷を軽減させる為に重要な機能であることが考えられた。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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