関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O-048 心不全カンファレンスは入院期間を短縮させるか ~ランダム化比較試験による検討~
伊藤申泰大関直也田中良太倉形裕史西山徹中島弘田中宏和安達仁福田昭宏大久保信司
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p. 48-

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抄録

【はじめに】近年,多職種連携に注目が集まっており,循環器分野では心不全カンファレンス(以下,カンファ)が重要視されている.当院でも2015 年4 月より循環器内科にて多職種による心不全カンファを導入した.しかし,心不全カンファの効果に関する報告は少ない.今回,心不全カンファを導入したことによる入院期間について比較し,検討した.

【方法】対象は心不全の診断で当院に入院した患者のうち,リハビリテーション(以下,リハ)実施となった179 名とした.心不全カンファ導入前の2014 年度に入院した47 名(平均年齢;79.7±12.8 歳)をカンファ未実施群とした.心不全カンファ導入後の2015 年度に入院し,心不全カンファの対象となった132 名(平均年齢;79.9±11.4 歳)をカンファ実施群とした.検定項目は重症度,在院日数,入院からリハ開始までの日数,リハ終了時に200m 歩行を獲得した割合(以下,歩行獲得率)を両群間で比較した.統計解析は重症度と歩行獲得率の比較をPearson のカイ2 乗検定で行った.在院日数と入院からリハ開始までの日数の比較を対応のないt 検定で行った.有意水準は5%とした.倫理的配慮はオプトアウト方式とした.

【結果】在院日数は,カンファ実施群で有意に減少した(未実施群:37.9±24.8 日vs 実施群:28.3±16.2 日,P=

0.017).入院からのリハ開始までの日数は,カンファ実施群で有意に減少した(未実施群:10.2±8.1 日vs 実施群:

6.7±4.1 日,P=0.006).歩行獲得率は,カンファ実施群で有意に増加した(未実施群:21%vs 実施群:46%,

P=0.003).

【考察】心不全カンファ導入前後の比較で,導入後は入院からリハ開始までの日数が短縮した.さらに歩行獲得率が増加し,最終的に在院日数が短縮した.心不全カンファでの情報の共有により,包括的な心不全治療におけるリハ実施の判断に共通認識が得られたと考えられる.

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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