関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O-055 肩関節周囲炎を呈した症例 ~更衣動作(結帯動作)に注目して~
秋山智則
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p. 55-

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抄録

【目的】 右肩関節周囲炎を呈した症例に対し、評価を行い結帯動作に注目した運動療法を実施する機会を得たので報告する。

【方法】 ヘルシンキ宣言に基づき評価・治療を行った。症例は右肩関節周囲炎を呈した50 代女性。2014 年に肩痛自覚、2015 年に更衣動作困難となり当院受診され上記診断にて2016 年に理学療法処方。治療内容は棘下筋、小円筋のリラクセーション、ストレッチ、肩甲骨のモビライゼーションを1 単位、自主練習として肩関節後方関節包に焦点を当てたストレッチを週2 回、5 か月間実施予定。介入前後で肩関節伸展、外転、2nd 内旋、3rd 内旋の関節可動域(以下ROM)、肩峰下角から床間距離、第7 頸椎棘突起(以下C7)から橈骨茎状突起間の距離を測定。 ROM は日本整形外科学会に準じた方法(以下ROM1)、肩甲骨内側縁を基本軸とし、上腕骨を移動軸とした測定方法(以下ROM2)にて実施。

【結果】 ROM1:肩 伸展右側25°→35°、外転140°→160°、2nd 内旋50°→60°、3rd 内旋20°→35° ROM2:肩 伸展15°、外転85°,2nd 内旋10°、3rd 内旋-30° 肩峰下角-床間距離4 横指、C7-橈骨茎状突起間34.0cm→28.0cm

【考察】 結帯動作は、肩甲上腕関節伸展、内旋、外転、肩甲胸郭関節下方回旋-前傾の複合運動となる。本症例の動作制限因子として肩後面筋を中心とした柔軟性低下と肩甲骨マルアライメントによる肩上方組織のインピンジメントと考える。林らはoblique translation が生じた症例に対して関節周囲組織の伸張性と滑走性の改善を図ることが重要とし、棘下筋、小円筋に柔軟性の改善により、上腕骨頭の後下方への動きが出現し、動作改善を認めたと考える。

【まとめ】介入1 ヶ月現在、動作改善を認めたが右上肢を使用しての更衣動作の獲得には至っていない。本田らは、結帯動作においてTh12 より高位は肩甲骨運動が主体となると報告している。本症例はTh10 であるため今後は肩甲骨に焦点を当てた治療を実施していく。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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