関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O-070 TKA 術後1 年の疼痛に関連する術後3 ヶ月時の因子の検討
川島雄太岩崎翼入山渉金子貴俊
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キーワード: TKA, 疼痛, カットオフ値
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p. 70-

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抄録

【はじめに】人工膝関節全置換術(以下、TKA)後の1 年後にVisual Analog Scale(以下、VAS)が40mm 以上であった症例が13.1%であったと報告され、術後の疼痛が問題視されている。しかし、術後早期から1 年時の疼痛に影響する因子を検討した報告はない。

【目的】術後1 年時の疼痛に影響する術後3 ヶ月時の因子を明らかにすること。

【方法】対象は、当院にて平成25 年4 月から平成27 年3 月にTKA を施行した患者のうち、1 年後まで追跡可能であった128 名(男性19 名、女性109 名;平均年齢72.8±6.3 歳)とした。評価期間は術後3 ヶ月・1 年とした。評価項目は膝関節可動域(以下、ROM)の屈曲・伸展、膝伸展筋力、日本版膝関節症機能評価尺度(以下、JKOM)、歩行時痛とした。歩行時痛はVAS を用いて100mm 法で測定した。先行研究に基づき、術後1 年時にVAS が40mm 以上ある群を疼痛残存群、40mm 未満の群を良好群として2 群に分類した。術後1 年時の歩行時VAS を目的変数、術後3 ヶ月時の歩行時VAS、膝ROM、膝伸展筋力、JKOM の下位項目を説明変数として多重ロジスティック回帰分析を行った。選択された項目に対してROC 曲線を用いて、術後3 ヶ月時のカットオフ値を算出した。有意水準は5%とした。なお、事前に研究内容を十分説明し、同意を得られた者のみを対象とした。

【結果】術後1 年の歩行時痛に影響を与える因子としてJKOM の「日常生活の状態」(以下、JKOM-ADL)と歩行時VAS が選択された(P<0.01)。また、術後1 年で歩行時VAS が40mm 未満となるためのカットオフ値はJKOM-ADL

が13 点(感度0.80、特異度0.86)、歩行時VAS が24mm(感度0.80、特異度0.79)であった。ROC 曲線下面積はJKOM-ADL が0.90、歩行時VAS は0.80 であった。

【考察】術後1 年時の疼痛に関連する項目としてJKOM-ADL と歩行時VAS が選択された。術後3 ヶ月時点でJKOM-ADL が13 点より高い、もしくは歩行時VAS が24mm より高い患者は術後1 年で疼痛が残存する可能性が高いことが示唆された。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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