関東甲信越ブロック理学療法士学会
Online ISSN : 2187-123X
Print ISSN : 0916-9946
ISSN-L : 0916-9946
第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
会議情報

口述
O-084 障害者通所施設を利用した地域在住障害者における屋外移動自立度の改善が屋外生活空間 での活動に及ぼす効果
妹尾浩一安藤健太橋立博幸
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 84-

詳細
抄録

【目的】本研究では,障害者通所施設を利用した地域在住障害者において,公共交通機関の利用を含む屋外移動の自立度の改善が屋外生活空間での活動に及ぼす効果について検討することを目的とした. 【方法】公共交通機関を利用した屋外移動が非自立であった中枢神経疾患者13 名(43.7±8.5 歳)を対象とした.通所施設へは送迎バスを利用して週2 回来所し,理学療法,作業療法,言語療法を1 日合計3 時間実施した.評価は通所開始時,終了時および終了3 か月後において,実用的歩行能力分類(PAS)および屋外生活空間での活動(LSA)を調査した.なお,本研究はヘルシンキ宣言に基づき対象者に研究の概要を説明し同意を得た.

【結果】通所終了時における移動能力において,公共交通機関を利用した屋外移動の自立(PAS5 以上群,n=6) / 非自立(PAS4 以下群,n=7)によって対象者を2 群に分け,通所開始時における年齢,発症から通所開始までの期間,PAS およびLSA を群間比較した結果,いずれの指標も有意差を認めなかった.また,2 元配置分散分析を用いて各群のPAS およびLSA を比較した結果,有意な交互作用が認められ,PAS5 以上群ではPAS4 以下群と比べて通所終了時におけるPAS およびLSA の有意な改善が認められた.さらにPAS5 以上群では,送迎バスを利用しない自主通所が可能となり単独での遠方外出の機会が増加し,改善したPAS およびLSA が終了3 か月後においても維持されていたが,PAS4 以下群ではPAS およびLSA の有意な改善は認められなかった. 【考察】公共交通機関を利用した屋外移動が非自立であった中枢神経疾患者に対して,障害者通所施設で機能訓練を実施した結果,通所終了時に公共交通機関の利用を含む屋外移動が自立した群では屋外生活空間での活動が有意に増加し,通所終了3 か月後でも変わらず維持されていた.屋外生活空間での活動増加を図るためには,公共交通機関を利用した屋外移動の自立度の改善が重要であると考えられた.

著者関連情報
© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
前の記事 次の記事
feedback
Top