関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第36回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-039 3 次元動作解析装置を用いた手指関節角度算出アルゴリズムの精度検証
小林 章国分 貴徳喜多 俊介小平 寛岳青木 健太金村 尚彦
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p. 139

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抄録

【背景】

手は目標の把握や操作に重要な役割を果すだけでなく、食事や書字といった日常生活活動にも深く関わる。手の運動は静的な相と動的な相に分けられ、手の動的な相の解析はリハビリテーションだけでなくロボット工学などへの応用が期待される。

赤外線カメラを用いた計測は小さな反射マーカの貼付のみで計測することが可能であるが、手指の運動解析に特化したアルゴリズムはない。したがって、本研究の目的は3 次元動作解析装置を用いた手指関節角度算出アルゴリズムを作成し、その精度を検証することである。

【方法】

[ 実験]1 手指関節角度算出アルゴリズムの精度と誤差検証: 関節中心の座標から得られる2 つのベクトルのなす角より手指関節角度を定義した。コンピュータ上で手指運動を再現し、得られた座標から関節角度を算出し、その精度を検証した。次に各座標を近位方向へ1 ~5mm 並行して得られた座標から関節角度を算出した。[ 実験2] 疑似手指モデルを用いた精度検証:木製の箱と透明プラスチック板および4mm の反射マーカを用いて疑似手指モデルを作成した。各関節角度が10°刻みになるようにマーカを貼付し、3 次元動作解析装置VICON によってその座標を取得した。取得した座標より実験1 で作成したアルゴリズムを用いて計測精度を算出した。

【倫理的配慮】

本研究は数理モデルを用いた実験であり、説明と同意を求める対象はいない。

【結果】

[ 実験1]-30°~90°の範囲で0.1°未満の誤差で算出することができた。またマーカ座標のズレが大きく、屈曲角度が大きくなるほど誤差は大きくなった。[ 実験2]MCP、PIP、DIP 関節の最大誤差はそれぞれ4.652°( 規定角度20°)、4.652°( 同80°)、1.353

°( 同7 0 °) であった。

【結論】

マーカ貼付位置のズレが3 ~4mm 以内であれば、測定誤差5°以内で計測することが可能である。本研究の限界は皮膚運動を考慮していない点である。

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© 2017 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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