関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第36回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-077 左フックパンチで疼痛を訴えるボクシング選手への理学療法
齋藤 涼平
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p. 177

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抄録

【はじめに】

ボクシングのパンチは、ジャブ、ストレート、フック、アッパーの4 種類とされている。今回左フックでの痛みが強いと訴える左肩インピンジメント症候群と診断されたボクシング選手を担当する機会を得た。各パンチ動作の動作分析を行い、患部への力学的負荷を推察し理学療法を実施したので報告する。

【症例紹介】

症例は30 歳代男性。職業プロボクサー、中量級の日本トップランカー。主訴は左フックの時に左肩が痛い。現病歴、1 年ぐらい前から左肩の痛みが発生、試合後に疼痛が強くなり当院受診し理学療法開始。ヘルシンキ宣言に基づき症例には同意を得た。初期理学的所見関節可動域(Lt)肩関節屈曲160°1st 外旋/60°2nd 内旋/50 °疼痛評価安静時- 動作時痛+( 左フックNRS7/10 左ストレートNRS2/10) 整形外科テスト Neer- Hawkins+ CAT+ HFT+ EPT+

【理学療法および経過】

3 か月後に試合が決まっておりスケジュールを考え理学療法(週2 回)を行った。1 カ月で肩関節の可動域制限の改善と肩甲骨と胸郭のmobility とstability の向上。2 か月目では、ミット打ちでの強さを向上。フォームによって疼痛がありビデオでのフォームチェック等行った。3 か月目ではよりステップを踏んだ中やスパーリング等の実践を行っていく事で、競技復帰を行った。

【考察】

シャドーでの動作分析を行った際に、ジャブやストレートやアッパーは両股関節での重心移動や胸郭の動きは、矢状面上の前後/ 上下系になるが、フックでは両股関節と胸郭では回旋系の動きであった。症例はインファイタータイプでステップが少なく、両股関節での回旋が少ない中で肩甲胸郭を固めてしまい肩甲骨の動きが少ない中でフックをすることで、肩甲上腕関節に負荷が増大したと考えられる。

【まとめ】

ボクシングのパンチの種類の力学的課題を考え、症例の動作分析を行い力学的負荷を推察し、それを軽減するための運動療法を実施することは重要と考える。

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© 2017 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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