関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第36回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-125 当院における人工股関節全置換術後の回復期病棟を経由して退院した患者の現状
高橋 理紗南島 大輔水越 大輔高橋 美幸冬賀 秀一
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p. 225

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抄録

【目的】

当院は急性期病棟(385 床)に回復期病棟(30 床)が併設されている。人工股関節全置換術(以下THA)を施行された患者は、急性期病棟から直接退院する場合と、回復期病棟を経由して退院する場合があるが、回復期病棟へ転棟する明確な基準はない。

今回、当院の回復期病棟への適応を明らかにするため、現状について検討した。

【方法】

平成28 年1 月から平成28 年12 月までにTHA を施行した患者を検討した。骨折や脱臼による再手術や内科疾患の合併例、術前後のデータが十分ではない症例を除外した31 名を対象とした。急性期病棟から退院した急性期群は11 名(平均年齢

71.5 ± 6.6 歳)であり、回復期病棟を経由した回復期群は20 名(平均年齢64.4 ± 9.4 歳)であった。検討項目として在院日数や年齢を急性期群と回復期群で対応のないt検定で比較をした。歩行パフォーマンスは、各群の術前後の10m 歩行(最大歩行速度)とTimed up and go test(以下TUG)を対応のあるt検定で比較をした。個人情報の取り扱いについては口頭にて説明を行い、同意を得た。

【結果】

年齢は回復期群が有意に低かったが、在院日数は急性期群21.9 ± 7.9 日に対して、回復期群26.5 ± 11.5 日であり有意差を認めなかった。10m 歩行は、急性期群で術前8.2 ± 3.1 秒から術後7.8 ± 2.2 秒、回復期群では9.0 ± 3.5 秒から7.9 ± 1.9

秒と両群で有意差を認めなかった。TUG は急性期群では術前9.7 秒± 3.7 秒から術後9.2 ± 2.6 秒で有意差を認めなかったが、回復期群は10.1 ± 3.2 秒から9.1 ± 2.4 秒と有意に改善していた(p <0.05)。

【結論】

当院における回復期病棟を経由する患者は、年齢が若く、術後のTUG が向上していることが分かった。年齢の影響を受けている可能性は否定できないが、術前以上に動的バランス能力を含む歩行パフォーマンス獲得を希望する症例は、回復期病棟を経由する方が良い可能性が示唆された。

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© 2017 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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