関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第36回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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P-126 当院でTHA を施行した患者の術前骨盤傾斜角が在院日数、歩行速度に及ぼす影響
水越 大輔南島 大輔高橋 理紗高橋 美幸冬賀 秀一
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p. 226

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抄録

【目的】

近年、人工股関節全置換術( 以下 THA) の入院期間は短縮傾向にあるが、その経過は様々である。THA を行う患者の骨盤傾斜については、年齢との関係などが報告されているが、術前の骨盤傾斜角( 以下 PIA) と在院日数の関係を検討した報告は、我々が調べる限り見当たらない。今回は、当院におけるTHA を施行した患者の術前PIA と発育性股関節形成不全( 以下 DDH) の有無や術前後の歩行速度との関係を調査し、在院日数に及ぼす影響について検討した。

【方法】

当院で2016 年1 月~12 月にTHA を施行した患者のうち、内科的疾患で入院期間が延長した患者やデータが欠損していた患者を除外した31 名を対象とした。PIA は土井口らの方法を用い、20°以下の前傾群20 名(DDH 12 名) と20°以上の後傾群

11 名(DDH 1 名) の2 群に分けた。年齢と在院日数、術前の関節可動域は群間で比較し、歩行速度は10m 最大歩行速度を用い術前後で比較した。倫理的配慮は口頭にて説明し同意を得た。

【結果】

年齢は前傾群62.8 歳、後傾群74.1 歳であり前傾群で若年であった(P <0.01)。PIA は前傾群13.5°、後傾群27.1°であり、前傾群はDDH が有意に多かった(P <0.01)。在院日数は前傾群26.7 日、後傾群24.4 日であり、股関節の可動域は屈曲が前傾群76.7°、後傾群85.9°で伸展が前傾群-0.3°、後傾群3.2°と在院日数、可動域で有意差を認めなかった。歩行速度は前傾群で術前9.0 秒、術後7.7 秒と有意に改善を認めた (P <0.05) が、後傾群は術前9.5 秒、術後8.5 秒と有意差を認めなかった。

【結論】

先行研究と同様に、当院でも前傾群では若年でDDH の割合が多い傾向にあった。また今回の研究では、前傾群において後傾群と同等の在院日数で歩行速度が向上していることが示唆された。これらより、前傾群は若年で罹病期間が長いDDH の患者が多いことから、術前以上の歩行能力の改善や社会復帰を目指すリハビリテーションが必要となるため、それらを配慮した介入が必要と考えられた。

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© 2017 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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