関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第38回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: F-030
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フレッシュマン
人工膝関節全置換術後患者の退院時歩行速度に影響する因子の検討
綿貫 大佑
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キーワード: TKA, 退院時, 歩行速度
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抄録

【目的】TKA後患者の理学療法介入において,術前から退院時の予測を行うことは入院中の介入の一助になると考える.本研究の目的は退院時の歩行能力に影響する術前因子を検討することとした.

【方法】当院で膝OAに対し,TKAを施行した132名(男性:35名,女性:97名,平均年齢:72.5±6.9歳)を対象とした.OA以外の疾患や再置換例は除外した.理学所見は術前と退院時に歩行能力として歩行速度(m/sec)を測定し,その他に膝関節屈曲・伸展可動域,膝関節屈曲・伸展筋力,歩行時痛(NRS),5回立ち座りテスト (FTSS),タンデム立位時間(秒)を測定した.統計解析は,退院時の歩行速度と術前の理学所見との関係性をスピアマンの順位相関係数を用いて分析した.また,退院時の歩行速度を従属変数とし,相関関係のあった術前の項目を独立変数として重回帰分析を行った.統計処理はR2.8.1を使用し,有意水準は5%とした.

【倫理的配慮】対象者には研究内容を書面と口頭で十分に説明し,同意を得た.

【結果】退院時の歩行速度と術前の膝伸展可動域,膝屈曲・伸展筋力,歩行速度,タンデム立位時間に正の相関がみられ,FTSSと歩行時痛には負の相関がみられた.重回帰分析の結果,タンデム立位時間(p<0.01,R=0.27,R2=0.14),膝伸展可動域(p<0.01,R=0.25,R2=0.14)が抽出された.

【考察】歩行速度はバランス機能に影響されるため,本研究においても術前のバランス能力の低下が術後の歩行速度に影響したと考える.また,膝屈曲拘縮は膝伸展筋の筋出力が低下することから,伸展制限により歩行時の筋出力に影響し,歩行速度が低下したと考える.

【まとめ】術前の伸展可動域の低下とバランス能力が低下している者は,退院時の歩行速度が遅いことが示唆された.

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© 2019 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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