今回与えられた「運動器系理学療法が果たすべき役割-教育現場から-」というテーマに対して、その歴史、現状、そして今後の果たすべき役割および将来像についての以下の3つに分類し考えたい。
●歴史(理学療法教育の歴史)
理学療法の起源は、紀元前ギリシアのピポクティスのから多くの関連書目があることはよく知られている、最も古い教育課程として記録があるのは1894年のイギリスでの理学療法団体のようである。本邦では1910から1920頃(大正年代)の記録がある。1956年あたりから本格的に(昭和32年)国会に提出されるようになり、1963年度(昭和38年度)教育予算としては国立療養所東京病院に当てられリハビリテーション学院が開校した。実現しなかったが、臨床部門の予算として運動器と内部障害はPTの予算として、精神はOTの予算としての案もあったようである。
●運動器系理学療法の教育現場の現状(運動器系理学療法のカリキュラムと学生の質?)
・運動器系理学療法のカリキュラム
いくつかの養成教育機関で公開されているシラバスを参照すると、以下の2通
りの傾向があった
1 )運動器系理学療法の範囲すべて網羅すること困難なため、主要な疾患を
抜粋して断片的に講義する。
2 )運動器系理学療法の疾患別知識は行わず、その養成教育機関に所属して
いる教員の専門とする治療技術を中心に講義及び実技をする。
上記の方法をとるのはコアカリキュラムという考え方があると思える。
しかし、それで本当に運動器系理学療法の教育は問題ないのかを考え
る。
現状の理学療法の教育現場でカリキュラム構成する上で大きな比重を占めてい
るのは、以下の3つと思える。
1)文部科学省から理学療法教育の指定規則(96単位)
2)大学の4年制の課程の場合、卒業所要単位の規程(124単位以上)
3 )理学療法士協会の理学療法教育ガイドライン(1版)理学療法教育モデ
ル・コア・カリキュラム
(平成22年4月)
上記のみで運動器系理学療法を考えていいのかを考えたい。
・学生の質?
現状の教育現場で避けては通れない問題に学生の質の問題がある、これは問
題視され久しい。しかし、この問題は過剰な養成校の設立と少子化に伴って
生じた自然現象であり何ら不思議なことではない。
ここで考えたいのは、「学生の質の低下は学生だけの問題なのか?」「カリ
キュラム編成や実習単位を変更することで、それは解決されるのか?」「理学
療法教育のグローバススタンダードは?」等を考え、根本に潜んでいる問題は
ないのかを考えたい。
● 今後の果たすべき役割および将来像
上記の歴史と現状から、筆者の運動器系理学療法の授業構成やその方法論も紹介しながら、将来性のある理学療法士や理学療法士を目指す若者達もしくは彼らが関わる患者様のために、現状の我々が運動器系理学療法をどのような方向性を導かなければいけないかを考え、そのために筆者は今何をしているのかを紹介する予定である。
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