関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第38回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: F-057
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フレッシュマン
フレイルの指標を基準とした握力と転倒との関係性
小野田 知夏入山 渉加藤 啓祐小林 凌
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キーワード: 地域在住高齢者, 転倒, 握力
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抄録

【目的】握力をフレイルの指標(男性26kg未満、女性18kg未満)を基準に群分けし、健常群と握力低下群で転倒の関連因子が異なるか検討すること。

【方法】対象は当院主催の転倒予防教室に参加した地域在住高齢者387名(平均年齢75.5±7.5歳、女性312名、男性75名)とした。基本情報は年齢、性別、身長、体重、Body Mass Index、既往歴、過去1年間の転倒歴を聴取した。身体機能は握力、30seconds chair stand test、開眼片足立ち時間、Timed Up and Go test(TUG)、Functional Reach test(FR)を評価した。群分けは握力を用い、フレイルの基準(男性26kg未満、女性18kg 未満)を満たした者を健常群、満たさない者を握力低下群とした。その後転倒の有無でさらに群分けし、各群で身体機能の比較を行った。さらに過去1年間の転倒歴を従属変数、身体機能と年齢、性別を独立変数としたロジスティック回帰分析を行った。有意水準は5%とした。

【倫理的配慮】本研究は慶友整形外科病院倫理委員会の承認を得た後に実施された。対象者には研究目的や個人情報の取り扱いなどを書面で説明し同意書への署名にて同意を得た。

【結果】健常群284名(平均年齢73.4±6.0歳、転倒者49名、 17.2%)、握力低下群103名(平均年齢80.4±5.7歳、転倒者15名、14.5%)であった。健常群はすべての項目で有意差は認められなかった。握力低下群は群間比較でTUG(転倒群/非転倒群として13.3±5.1秒/12.2±2.2秒)とFR(24.3±5.2cm/29.3±5.7cm)に有意差を認めた。 ロジスティック回帰分析で有意だった項目はTUGであり、オッズ比は1.24(95%信頼区間:1.02 〜1.49)であった。

【考察】本研究より健常群は身体機能に差が無いことから偶発的な転倒が多いことが示唆された。一方、握力低下群は移動能力の低下が転倒リスク因子になることが示唆された。握力は簡便で安全に行えるため簡易スクリーニングとして有用であると考えられた。

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© 2019 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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