関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第38回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: O-001
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口述
頚椎症・肩関節周囲炎と診断され、挙上困難と肩関節に放散痛が出現した症例
木村 遊大野 敦生豊田 裕司高須 孝広下川 翔平
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抄録

【はじめに】本症例は肩関節初動時に放散痛と挙上最終域で衝突感を訴えていた.この原因が頚部の椎間関節障害によると仮説を立て介入を行い,改善が得られたため報告する.

【症例】50代女性.平成31年1月に当院に受診し頚椎症,肩関節周囲炎と診断された.介入時は4月であり主訴は右肩関節挙上困難と運動時痛であった.

【説明と同意】ヘルシンキ宣言に基づき,目的および方法を説明し同意を得た.

【評価】疼痛:挙上初期から頚部右側〜右前腕尺側に放散痛(NRS7),挙上80°で衝突感(NRS4).筋緊張:僧帽筋上部線維,頭半棘筋の緊張亢進.肩関節ROM右:屈曲:80 °,外転:60 °.頚部ROM右:側屈:15 °.MMT(右/左):三角筋,棘上筋,上腕二頭筋(3 /4).整形外科テスト:Neer・Hawkins test,Spuring test右側陽性.動作観察:挙上運動で肩甲骨挙上,前傾が先行的に起こる.画像所見:頚椎MRI:C5 /6,C6 /7狭窄.

【仮説】本症例の疼痛は筋力低下部位,頚椎MRIより椎間孔での狭窄によるものと考える.挙上困難な原因は椎間関節障害により主動作筋の筋力低下が生じ,大胸筋等で代償運動が出現した結果,ROM制限や衝突感が出現したと考えた.

【治療】1.頚部筋緊張緩和2.頚椎モビライゼーション

【結果】疼痛:放散痛消失,挙上110°で衝突感(NRS4).肩関節ROM右:屈曲110°,外転100°.頚部ROM右:側屈:30°.MMT(右/左):三角筋,棘上筋,上腕二頭筋(4 /4).整形外科テスト:Spuring test陰性.

【考察】疼痛と挙上困難の原因は整形外科テストや主動作筋の筋力低下を生じていたことから神経根症状とインピンジメント徴候が考えられた.肩関節周囲炎が拘縮期に移行しており,ROMのEnd feelから軟部組織の伸張性が低下している.このことから上腕骨頭の骨頭偏位によりインピンジメント徴候が起こることも予想されるが,主訴である疼痛の質や部位がC5 〜C7神経支配領域であるため椎間関節障害の問題と考えた.

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© 2019 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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