関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第38回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: O-028
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口述
物品運搬課題によりContraversive Pushingが減少し、座位保持可能となった症例について
萩原 裕崇二田 明子
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抄録

【目的】今回、右脳梗塞によりContraversive Pushing(以下Pushing)を呈した症例を担当する機会を得た。座位・立位ともに陽性。車椅子座位では左側に姿勢が崩れ長時間の保持が困難であった。Pushingは日常生活自立度を著しく低下させ、入院期間が有意に延長することが報告されており、Pushingに対する治療方法は確立されていないのが現状である。また座位のリーチ動作では立位のリーチ動作に比べ厳しくなく、必要となる筋は主に体幹部であると考えられており、座位での物品課題におけるリーチ動作によりPushingが軽減したとの報告がある。 Pushingを客観的かつ定量的に評価するための指標としてはScale of Contraversive Pushing(以下SCP)が報告されている。このSCPを用いて座位での物品課題における介入を実施した。

【症例紹介】70代女性診断名:アテローム血栓性脳梗塞(右外側線条体動脈領域)X年Y月Z日に発症し、35日後に当院へ転院。基本動作:起居動作 全介助,座位 中等度介助,立位 重度介助理学療法評価(35病日目):BRS(左側)上肢Ⅱ - 手指Ⅰ - 下肢Ⅰ SCP:6点FIM 52/126点(運動21点,認知31点)

【倫理的配慮】本症例に今回の発表について十分な説明を行い、同意を得た。

【方法】前方に机を用意し、左上肢を机上に手掌を接地するように置いた。足底は全面接地させ股関節、骨盤を中間位になるよう後方介助しながら物品運搬課題を施行。課題は右側方から左斜前方へ向けて輪入れを行った。

【結果】43病日目 基本動作:起居動作 軽介助,座位 監視,立位 中等度介助 BRS:上肢Ⅲ - 手指Ⅱ - 下肢Ⅲ SCP 3,25点 FIM 55/126点(運動24点,認知31点)

【考察】今回、物品運搬課題を行うことでSCP 6点→ 3,25点へ変化し、Pushingの改善を認めた。要因として姿勢を整え、課題を行うことにより①左体幹部の伸展②右体幹筋が賦活され、座位保持が可能になったと考えられた。しかし、今回の介入方法では立位、歩行については検討していないため、今後の課題として取り組んでいきたい。

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© 2019 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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