関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第40回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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スペシャルオーラル
SPO-1 COVID-19 拡大予防の自粛生活中における、フレイル新規発生のスクリーニング法の開発
篠原 智行齊田 高介田中 繁弥村山 明彦目崎 智恵子石井 純子鳥塚 典恵青木 久美樋口 大輔
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p. 1-

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抄録

【目的】COVID-19 拡大予防の自粛生活によって、フレイル増加が懸念される。今回、新規フレイル発生のスクリーニング法を、探索的に示すことを目的とした。

【方法】コホート研究を実施した。地域在住高齢者1,953 名に質問紙を配布し、郵送にて回収した。調査は2020 年

5-7 月(一次)と2020 年11 月-2021 年1 月(二次)に実施した。質問紙はフレイル評価のためのFrailty Screening Index(FSI)、後期高齢者の質問票、作成した生活変化の質問票で構成した。生活変化の質問票は自覚的な身体活動量、下肢筋力、食事量、不安、コミュニケーション機会に対して5 段階のLikert scale の回答肢を設けた。一次でフレイルでなかった者を対象に、二次調査での新規フレイルの有無を従属変数、質問紙の各項目を独立変数とする多重ロジスティック回帰分析を行った(年齢、性別、併存疾患、家族構成で調整)。

【倫理的配慮】本研究はヘルシンキ宣言を遵守して計画され、高崎健康福祉大学研究倫理委員会審査会の承認を得た(許可番号2009 号)。研究参加の同意取得は質問紙への氏名の記載をもって行った。

【結果】492 名を解析対象とした。平均年齢78.6 歳、女性は380 名(77.2%)、平均調査期間は186.5 日であった。新規フレイルの発生は48 名(9.8%)であった。多重ロジスティック回帰分析の結果、後期高齢者の質問票の転倒

(Odds Ratio(OR):2.26、95%confidence interval(CI):1.08-4.47)、物忘れ(OR:2.74、95%CI:1.00-7.51)、生活変化の質問票の下肢筋力の弱り(OR:1.83、95%CI:1.05-3.21)であった。3 項目全てに該当した場合の新規フレイルの感度は66.7%、特異度は90.9%、正確度は90.7%であった。

【考察】半年間の自粛生活中の新規フレイルのスクリーニングを、転倒、物忘れ、自覚的な下肢筋力の弱りの3 項目を用いて行える可能性が示唆された。感染症拡大が考慮される状況では、実測が不要の評価の開発が期待される。

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© 2021 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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