主催: 公益社団法人日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
会議名: 第40回関東甲信越ブロック理学療法士学会
開催日: 2021/09/04 - 2021/09/05
p. 137-
【目的】近年在院日数の短縮が推進されており、急性期では早期に明確な予後予測が求められている。急性期脳卒中患者の予後予測についてMRI 画像を用いた評価法であるASPECTS-DWI の有用性を検討した。
【方法】対象は2019 年4 月~2020 年8 月に当院脳神経外科病棟に入退院した中大脳動脈(以下:MCA)領域梗塞患者。発症~入院が3 日以上、脳卒中の既往、両側のMCA 領域梗塞、出血性病変、入院前ADL 非自立、転入院・転院、入院中の骨折、死亡例を除外した20 名とした。上記患者に対し入院期間、ASPECTS-DWI、下肢BRS、入院時Barthel Index(以下:BI)、BI 利得、意識レベル、年齢を調査した。入院期間に影響を与える因子を検討するために入院期間を従属変数、その他の項目を独立変数として重回帰分析(ステップワイズ法)で統計解析した。
【倫理的配慮】本研究はヘルシンキ宣言に基づいて実施した。
【結果】入院期間を従属変数とした重回帰分析の結果、ANOVA=p<0.01で、ASPECTS-DWI合計点(標準化偏回帰係数=-0.51 p<0.01)、下肢BRS(標準偏回帰係数=-0.46 p<0.01)の2 変数が抽出された。R2=0.76、自由調整済みR2=0.73、VIF=1.53 であった。重回帰式は入院期間=304.05-18.55×ASPECTS-DWI 合計点-19.48×下肢BRS となった。
【考察】重回帰式の活用によりASPECTS-DWI 合計点や下肢BRS から大まかな入院期間の予測が可能になった。また、入院期間に影響を与える要因としてASPECTS-DWI 合計点や下肢BRS が抽出された。入院期間の長期化が予測される場合は回復期病棟や地域包括ケア病棟への転棟を考慮する必要があると考えた。