関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第40回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O2-3 断端損傷を繰り返し介入に難渋した膝関節離断症例~入院から外来リハビリの経過~
宮川 万里子小倉 征慈
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p. 18-

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抄録

【はじめに】膝関節離断術(以下:膝離断)は、断端荷重が可能なことが利点とされているが、末梢循環障害患者には不適当と言われている。今回糖尿病壊疽による膝離断症例を入院から外来まで経験した。ソケットの不適合、複数回に及ぶ治療を要し、義足作成やリハビリに難渋したため、考察を含めて報告する。

【症例提示】40 代男性。右足底皮膚壊死、ガス壊疽がみられ救命目的にて右膝離断施行。その際、膝蓋骨は温存している。術後5 週目に当院転院、21 週目に仮義足(二重ソケット)完成し、独歩自立にて自宅退院。その後外来リハビリを開始したが42 週目に創部感染を認め、デブリードマン及び閉創術施行。59 週目に本義足(有窓式ソケット)完成。しかし、滑液包炎の診断により86 週目に滑液包切除術施行。91 週目にチェックソケットを再作成し、現在は断端損傷や疼痛なく生活されている。今後、再度本義足を作成予定。

【倫理的配慮】当院倫理委員会にて承認を得た。本人に趣旨と目的を説明し承諾を得た。

【考察】主治医や義肢装具士を含めて患者の状態について話し合い、適合性の高い義足作成に努めた。本症例は膝蓋骨が温存されたことで歩行時に膝蓋骨が動き、膝蓋骨やハムストリングス腱の疼痛が生じやすかった。対処として、パットで膝蓋骨上部を押さえ、腱チャネルを作成することで症状改善に至った。患者教育に関しては、入院中に断端管理指導を、退院時に自主トレーニング指導や栄養指導を実施した。しかし退院後、食事管理や運動不足、患者自身が断端損傷に気づかないなど断端管理不足がみられた。結果、断端損傷が頻回に生じ、治療やソケットの作成を複数回要したため義足未装着時期が続いた。今回の主な課題としては、退院後の患者教育不足が挙げられる。

外来介入中も断端管理方法や運動頻度の確認、トレーニング内容の見直し、栄養管理を行うなどして患者教育を継続する必要があったと考える。

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© 2021 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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