関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第40回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O3-2 難治性足底腱膜炎に対する体外衝撃波治療の治療効果に関与する因子の検討
渡部 莉那岡邨 直人石川 末和富山 泰行大森 豪山本 智章
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p. 22-

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抄録

【目的】体外衝撃波治療(以下ESWT)は,難治性足底腱膜炎の疼痛軽減に有効とされている.今回は当院での治療経験から,疼痛軽減に関与する因子について報告する.

【方法】対象は2019 年10 月~2020 年12 月に足底腱膜炎に対しESWT を行った,男性13 名15 足,女性23 名26

足,平均年齢48.0±14.2 歳である.ESWT にはDuolith SD1(ストルツメディカル社)を使用し,1 週または2 週に1 回の頻度で圧痛点に照射した.1 回の治療で2500 発,照射強度は最大0.25mj/mm2 までとし,患者が我慢できる最高出力強度にて照射した.疼痛評価にはVisual analogue scale(以下VAS)を用い,初回と最終についてVAS 平均とVAS 変化量を比較した.また,治療開始時に1 日における平均立位時間,活動時間について聴取,エコー画像にて足底腱膜の最大厚を測定した.これらのデータに対し,VAS 変化量を従属変数,立位時間,活動時間,足底腱膜の最大厚,初回VAS を独立変数とした重回帰分析を実施し,VAS 変化量への影響因子を検討した.統計学的処理は,VAS 平均の比較には対応のあるt 検定,VAS 変化量に関与する因子の分析にはStepwise(BIC)法による重回帰分析を用い,有意水準は5%未満とした.

【倫理的配慮】本研究はヘルシンキ宣言および当院の臨床研究に関する倫理指針に従って実施した.データは個人情報保護に十分に注意して調査した.

【結果】治療前VAS 平均は57.4±21.4mm であり,治療後VAS 平均は26.3±18.8mm と,有意に改善がみられた(p<

0.001).重回帰分析では,VAS 変化量と関連がある項目は初回VAS(標準回帰係数0.67,p<0.05),立位時間(標準回帰係数-0.36,p<0.05)であった.

【考察と結論】当院において足底腱膜炎に対するESWT は有効であった.また,疼痛改善に関与する因子として,初回VAS が高値であること,立位時間が短いことが検出された.VAS については先行研究に一致している.長時間の立位は足底腱膜炎の発症原因に挙げられており,ESWT の新たな予後予測因子として有用である可能性が示唆された.

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© 2021 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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