関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第40回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O4-5 成長期腰椎分離症における癒合・非癒合患者の身体機能的特徴の検討
佐藤 俊光岡邨 直人山本 智章
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p. 30-

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抄録

【目的】成長期腰椎分離症(分離症)は12 歳~17 歳の成長期における発生が9 割を占めている。分離症と下肢の柔軟性の関係についての報告は多く聞かれているが、癒合・非癒合患者における身体機能的特徴を示す報告は少ない。本研究の目的は癒合・非癒合患者の外来受診時における身体機能的特徴を後ろ向きに調査することである。

【方法】対象は2015 年9 月~2020 年1 月に当院で分離症と診断され、通院終了までリハビリを行うことができた小中高校生53 例(男性47 例、女性6 例)とした。対象に対して指床間距離(Finger Floor Distance:FFD)、体幹伸展角度、下肢伸展挙上角度(Straight Leg Raising:SLR)、踵殿間距離(Heel-Buttock Distance:HBD)を計測した。統計処理は対応のないt 検定、Mann-Whitney U 検定を用いた。有意水準は5%とした。

【倫理的配慮】本研究はヘルシンキ宣言に沿って対象者の倫理的配慮を行った。

【結果】当院における癒合患者は28 名(52.8%)非癒合患者は25 名(47.2%)であった。身体機能面ではFFD において、癒合群9.0±13.3cm,非癒合群18.4±18.4cm となり癒合群で有意に低値を示した(p=0.04).他の計測項目において有意差は見られなかった。

【考察】FFD において癒合患者では非癒合患者よりも柔軟性が高い結果となった。先行研究では分離症の病期は初期、進行期、終末期に分類され、骨癒合は初期の片側分離で癒合率が高く、病期が進んだ状態かつ両側分離になるにつれて癒合率は低くなっていく。本研究の癒合患者は初期の片側分離が多く(57.1%)、非癒合患者では進行期の両側分離が多い(68%)結果となった。初期分離症は初発時の腰痛が軽微であることが多く、安静で軽快し日常生活レベルでの支障も少ない。一方、進行期分離症は安静で軽快しない腰痛が多く、日常生活レベルにも影響を与えることからFFD における制限因子は癒合患者では非癒合患者より少なかったことが考えられる。

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© 2021 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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