関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第42回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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一般演題
糖尿病を有する変形性膝関節症例は可動域制限や膝屈伸筋力の低下を示す
鈴木 駿良久 光佑宗田 大山崎 順也河野 佑二森戸 俊行
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p. O-039-

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抄録
【目的】 糖尿病(以下DM)を有する患者では人工膝関節全置換術(以下 TKA)の術前において膝関節伸展,屈曲可動域,膝関節伸展筋力の 低下が報告されているが屈曲筋力は未報告である.今回,DM を 有する変形性膝関節症(以下KOA)の膝関節屈曲筋力を含めて検討 した. 【方法】 2022年6月から2023年3月の間に当院にて内側型KOAの診断で TKAまたは人工膝関節単顆置換術の施行例を対象とした.現病歴に DMを認める30膝をDM群,DMを認めない90膝を対照群とした. 平均年齢はDM群74.1歳±6.5歳,対照群72.4歳±6.9歳だった. 検討項目は膝関節伸展,屈曲可動域と膝関節伸展,屈曲筋力とした. 関節可動域は日本整形外科学会の測定方法に準じ,東大式ゴニオ メーター(オージー技研株式会社)で他動的に測定した.筋力測定は μTAS F-1(アニマ株式会社)を使用し,下腿下垂した端坐位,体幹 垂直位で5秒間の最大等尺性収縮筋力を2回測定し大きい値(kgf) を採用した.統計学的手法はStudent t-testを使用し,有意水準 は5% とした. 【結果】 伸展可動域はDM 群-7.5±6.1°,対照群-4.4±4.0°,屈曲可動域 はDM 群129±12.5°,対照群136±11.5°と有意にDM 群で伸 展と屈曲可動域低下を認めた(p <0.05).伸展筋力はDM 群18.1 ±5.3kgf, 対照群22.4±7.1kgf, 屈曲筋力はDM 群8.2± 2.7kgf,対照群9.7±2.7kgf と有意にDM 群で伸展と屈曲筋力 低下を認めた(p <0.05). 【考察】 TKA術前の筋力低下が術後6週間のWOMAC合計値を有意に低下 させるという報告があり,DM 例では術後臨床成績の低下が予想 され,膝筋力低下が成績の低下と関係する可能性がある. 【結論】 DM 群では膝関節伸展,屈曲可動域,膝関節伸展筋力の低下だけ でなく,屈曲筋力の低下も示した. 【倫理的配慮,説明と同意】 本研究は医療法人社団JSIの研究倫理審査委員会の承認を得て実施 した.(承認番号 2021-01)対象者にはヘルシンキ宣言に基づき, 説明し書面にて同意を得た.
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© 2023 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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