関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第42回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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一般演題
末期変形性膝関節症における運動イメージ能力に関連する因子
中島 爽冴壬生 彰岩村 元気関田 惇也嘉手苅 唯古本 崇明工藤 将山下 博樹
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p. O-040-

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抄録
【目的】 筋骨格系疼痛患者では運動イメージ(MI)能力が障害されていること が報告されている.しかし,MI能力と関連する要因は十分に明らか となっておらず,筋骨格系疼痛患者においてMI能力が重要であるかは 定かでない.本研究は,末期変形性膝関節症における運動イメージ 能力に関連する因子を明らかにすることを目的とした. 【方法】 対象は,初回TKAを施行予定の女性53名(年齢:73.1±6.6)とした. 術前日に疼痛強度,中枢性感作関連症状(CSI),破局的思考(PCS), 身体知覚異常(FreKAQ),膝伸展筋力,Timed Up & Go test (TUG)を評価した.MI 能力は,TUG とTUG をイメージで行う imagined TUG(iTUG)の時間的誤差(Δtime=|[(TUG−iTUG) /(TUG+iTUG)]| ×100)を指標とした.統計解析は,Δtimeと各 評価項目の相関分析を行い,さらにΔ timeを従属変数,疼痛強度, CSI,PCS,FreKAQ,膝伸展筋力,年齢を独立変数として,強制 投入法での重回帰分析を行った.統計学的有意水準は5%とした. 【結果】 Δ time と相関を認めた項目はCSI(r=0.327),膝伸展筋力(r=- 0.288)であった(p<0.05).有意な独立変数としてCS(I β=0.450) と膝伸展筋力(β =-0.267)が抽出された(p<0.05). 【考察】 CSIおよび膝伸展筋力はMI 能力と相関し,さらに独立して関連する 因子として抽出された.MI課題中は,前頭葉や頭頂葉が活性化される と報告されている.また,中枢性感作のメカニズムとして大脳皮 質の機能低下や下降性疼痛調節系の機能低下が考えられている. よってCSIが高値の者はMI能力が低下している可能性がある.また, MIトレーニングによる筋力改善効果が報告されており,MI 能力は 身体機能と関連する可能性がある. 【結論】 本研究より,末期変形性膝関節症患者のMI能力はCSIと膝伸展筋力 と関連した.今後はMI 能力の改善を目的とした介入の効果を検証 していく必要がある. 【倫理的配慮,説明と同意】 本研究はヘルシンキ宣言に基づいて実施した.対象者には本研究 の内容,目的,参加の自由等について説明し,文書による同意を 得た.また,本研究は当院の倫理委員会による承認を得た上で実施 した.
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© 2023 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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