関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第42回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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一般演題
長期人工呼吸管理後に歩行能力を維持できた症例
長井 祐樹長谷川 哲也武田 将英萩原 綾耶馬場 愛華
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p. O-068-

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抄録
【はじめに】 「人工呼吸管理の長期化に伴う不活動は,筋の組成変化をもたらし, 動作能力の低下を招く」と報告されている.今回,10日間の人工 呼吸管理を要した患者に対し,平均4.5単位/ 日の介入時間をかけ 呼吸理学療法,ベルト電極式骨格筋電気刺激法(以下B-SES),早期 離床の集中的な介入を実施した.その結果,病前の歩行能力を維持し ECU 退室となったため報告する. 【症例】 既往に脳梗塞があり,固定型歩行器で屋内歩行が自立していた70代 男性. 【治療経過】 X日,イレウス,誤嚥性肺炎,敗血症性ショックによりECU入室. 両肺の背側優位に浸潤影を認め,酸素化能の障害(P/F:59.6)を 認めた.またショックにて循環作動薬を要していた.X+4日,酸素 化能も改善傾向であったが喀痰量が多く,頻回な吸引を要していた. 集中的な理学療法介入に加え,看護師の協力の下,積極的な体位 ドレナージを行い,酸素化能は改善し,X+10日,抜管に至った. X+15日,酸素需要もなくなりECU 退室.ADL は改善したが, 咳嗽能力が乏しく吸引を要していたためX+25日転院となった. 【理学療法経過】 X+1日より,循環動態が不安定だったため,体位ドレナージ,B-SES を実施.X+4日,循環作動薬が漸減傾向となり端坐位を開始した. X+10日抜管,歩行練習を開始.X+15日,歩行器を使用し軽度 介助にて30m可能となりECU 退室.X+25日,監視歩行が可能と なった. 【考察】 本症例は既往に脳梗塞を有し廃用になりやすい状況であり,人工 呼吸管理による不活動にて更なる歩行能力の低下が危惧された. しかし,早期から平均4.5単位/ 日の介入時間をかけ集中的な理学 療法を展開する事で,筋力低下を防ぎ歩行能力を維持出来たと考え られる. 【結語】 超急性期において集中的な理学療法を提供し筋活動を促すことで, 歩行能力の維持に寄与出来る可能性が示唆された. 【倫理的配慮,説明と同意】 発表にあたり患者の個人情報とプライバシーの保護に配慮し,本人 から書面にて同意を得た.(承認番号:22-71)
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© 2023 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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