抄録
【背景】
新型コロナウイルス感染症(以下,COVID-19)拡大により,養成
校などの教育現場においても対面での授業は難しく,オンライン
授業対応など,大きな影響を及ぼした.多摩リハビリテーション
学院専門学校(以下,本校)においても,2020年4-5月は対面での
授業は実施せず,オンライン等の遠隔授業での対応となった.そこで,
今回,遠隔授業が成績においてどのような影響をもたらしたのか
疑問に感じ,調査,検討することとした.
【目的】
遠隔授業による影響が,成績においてどのような影響を与えたか
を調査することで,今後の授業等の取り組みに活かす.
【対象と方法】
対象者は理学療法士・作業療法士学校養成施設カリキュラム等改
正後の2020~2022年度に本校に入学した124名(2020年度
42名,2021年度42名,2022年度40名)とした.対象科目は
2020~2022年度の1年生前期において,同一教員同一科目で開講
した6教科とした.遠隔授業で実施した2020年度と対面授業で
実施した2021および2022年度のGrade Point Average(以下,
GPA)を平均し,各年度で比較検討した.統計は統計解析ソフトR
コマンダーを使用し,3群間の比較には一元配置分散分析にて検定
を行った.
【結果】
2020~2022年度に本校に入学した124名(2020年度42名,
2021年度42名,2022年度40名)のGPA の平均を各年度で比較
検定した結果,3群間で有意な差は認められなかった(p=0.145).
【考察】
竹中らより,COVID-19拡大前後で比較し,COVID-19拡大後の
成績が高くなり,要因としては評価手段がレポート課題などの主観
的な部分が成績に影響を与えた可能性があるとの報告がある.本校
においてはCOVID-19拡大後に従来の対面による授業から遠隔授
業に変更する中で,成績に与える影響は少ないことが考えられ,
今後,必要に応じ遠隔授業の取り組みも可能であることが示唆さ
れた.
【倫理的配慮,説明と同意】
学校法人和風会多摩リハビリテーション学院専門学校倫理審査会
より承認を得た.(承認番号:2023-081号)