関東甲信越ブロック理学療法士学会
Online ISSN : 2187-123X
Print ISSN : 0916-9946
ISSN-L : 0916-9946
第43回関東甲信越ブロック理学療法士学会 ・ 第30回千葉県理学療法学術大会 合同大会
セッションID: P2-1-3
会議情報

一般演題
重度変形性関節症患者に対する内側フレアヒールが足関節角度や歩行能力に与える影響
*金田 蓮戸崎 精宮島 恵樹
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【はじめに】 日本足の外科学会より変形性足関節症(Osteoarthritis:以下 OA)の保存療法として足底挿板が推奨されており,その効果は多 数報告されている.一方で靴型装具は臨床で用いられていること が多いものの,その効果に関する報告は少ない.従って今回,足 OA患者に対する靴型装具の使用が足関節角度や歩行能力へ与え る影響を検討した. 【方法】 本症例は小脳出血により,当院回復期リハビリテーション病棟に 入院した70歳代女性である.症状は四肢の軽度失調と筋力低下 を認めた.既往症として右人工股関節全置換術,左股OA,両 膝OA,両足OAを有していた.膝と足に外反変形(Kellgren- Lawrence分類:グレードⅣ)を認めた.病前にかかりつけ医より 手術を勧められえていたが本人が拒否をしており,ADLは左膝装 具と四点杖を使用し移動していた.入院時は膝や足の痛み,下肢 筋力低下によりADL一部介助,活動性の低下を認めた.理学療法 では失調や筋力低下に対する運動療法に加え,変形に対する靴型 装具の使用を検討した.内側フレアヒール使用時は主観的効果が 得られたことから,右足部に内側フレアヒールを採用した.内側 フレアヒールは,高さ4㎝,横幅2.5㎝のライト材を後足部から前 足部まで熱加工にて接着した.なお,作成は義肢装具士に依頼し た.内側フレアヒールの効果を検討するため,Leg-Heel-Angle(以 下LHA),立位右下肢最大荷重,日本語版-改訂Gait Efficacy Scale(以下mGES),膝痛指標としてNRSを測定した. 【結果】 普通靴では右 LHA 19.1°,立位右下肢最大荷重量 30.0 ㎏, mGES 55点,右膝痛NRS 7点であった.内側フレアヒール使用 時では右LHA 1.4°,立位右下肢最大荷重量 44.5㎏,mGES 72 点,右膝痛NRS 3点であった. 【考察】 内側フレアヒールにより荷重時の足外反を矯正することが可能で あった.また右足部内側に支持基底面が拡大することで失調を有 する足部の重心制御に貢献した可能性がある.結果として荷重量 の増加や歩行への効力感が増加したと考える.さらに内側フレア ヒールにより足外反が矯正されたことで上行性運動連鎖により膝 の外反ストレスが軽減し,疼痛も軽減した可能性がある.従って 内側フレアヒールは変形予防や歩行能力の改善を目指すうえで一 助になりうることが示唆された. 【倫理的配慮,説明と同意】 本発表を行うにあたり,当院倫理委員会の承諾を得た.また本症 例に対し口頭にて説明を行い,同意を得た.
著者関連情報
© 2024 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
前の記事 次の記事
feedback
Top