関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第43回関東甲信越ブロック理学療法士学会 ・ 第30回千葉県理学療法学術大会 合同大会
セッションID: P2-6-4
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一般演題
骨盤ベルトが片脚立位の静的・動的バランスに与える影響
*小塚 芽生江戸 優裕
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抄録
【はじめに,目的】 骨盤ベルトは腰痛・骨盤痛の軽減(安藤2012)に加え,股関節伸 展筋力(原口ら2021),荷重能力(高橋ら2017),バランス(清水ら 2020,松田ら2009)の向上といった効果も報告されており汎用 性が高い.ただし,バランスについては両脚立位での検討に留まっ ていることから,より動的な姿勢での検討の余地がある.そこで 本研究は,骨盤ベルトが片脚立位における静的バランスおよび方 向別の動的バランスに与える影響を明らかにすることを目的とし た. 【方法】 対象は健常成人22名(男性6名・女性16名:平均年齢20.5±0.5歳) とした.骨盤ベルトは低伸縮ベルトと高伸縮補助ベルトの2重構造 からなる山田式ストロングベルト(ミノウラ社)を用いた.片脚立位 は左を支持脚とし,静的バランスは開眼・閉眼の重心動揺を重心 動揺計(ANIMA社)で30秒間計測した.動的バランスはmodified Star Excursion Balance Test(以下,mSEBT)を実施し,さら にmSEBTの各方向への70%リーチ姿勢(以下,SEBT姿勢)におけ る重心動揺を10秒間計測した.統計処理は骨盤ベルトの有無によ る各バラメータの差を群間比較した(p=0. 05). 【倫理的配慮,説明と同意】 対象者には研究の目的や方法を説明し,書面で同意を得た.なお, 本研究は研究実施機関の倫理審査委員会の承認済みである(承認 番号:2024-6). 【結果】 骨盤ベルト有り条件では,閉眼片脚立位の重心動揺において左右 実効値と左右動揺速度の最大値が低値を示した.mSEBTは後内 方と後外方リーチで高値を示した.SEBT姿勢の重心動揺は,後 外方リーチ姿勢の総軌跡長・左右軌跡長・矩形面積・外周面積・ 実効値・実効値面積・左右最大振幅・前後最大振幅・重心動揺速 度の実効値・左右動揺速度の最大値で低値を示し,前方リーチ姿 勢の前後実効値で低値を示した. 【考察】 骨盤ベルトがバランスに与える即時効果について,先行研究では 静的バランスを改善させるという報告(清水ら2020)とそうでない 報告(松田ら2009)があるが,本研究は前者を支持する結果であっ た.また,動的バランスは左右方向での改善が報告されており(松 田ら2009),本研究もおおむね一致する結果であったが,特に後 外方への改善を認めた.これらの変化は,骨盤ベルトによる仙腸 関節の安定化(force closure)や腹横筋機能の代償に加え,中・ 大殿筋への圧迫効果(吉武ら2015)によって股関節外転作用が補 われたためと推論された.
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© 2024 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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