関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第43回関東甲信越ブロック理学療法士学会 ・ 第30回千葉県理学療法学術大会 合同大会
セッションID: P3-5-1
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一般演題
機能靴下を想定した中足部の締め付けによる足趾把持力・圧迫力の変化
-各趾における検討―
*大内 俊弥江戸 優裕
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抄録
【はじめに,目的】 近年,中足部の締め付け作用のある機能靴下が多く流通しており, これらがアーチ低下を抑えることが報告されている(石橋ら2013). 足部機能の重要な指標として足趾把持力・圧迫力があるが,中 足部の締め付けによる変化は渉猟し得た限り明らかではない.ま た,足趾把持力・圧迫力は足趾全体で測定したものが多く(福田ら 2008,辻野ら2007),各趾の筋力を十分反映しているとは言い 難い.したがって,本研究では機能靴下を想定した中足部の締め 付けによる各趾の把持力および圧迫力の変化を明らかにすることを 目的とした. 【方法】 対象は健常成人12名(男性4名・女性8名:年齢21歳)とし,中足 部の締め付けあり条件と無し条件において利き足の足趾把持力及 び圧迫力を測定した.測定には,各趾の筋力を測定できるよう足 趾筋力測定器(TTK3365b,竹井機器工業)と徒手筋力計(モー ビィ,酒井医療)を改良して用いた.中足部の締め付けは,3cm 幅の伸縮ベルト(TIGORA)を用い,第5中足骨頭やや近位から足 部を横断するように150%長に伸長させた張力で取り付けた.測 定は無作為に各3回行い,平均値を解析した.解析は締め付け有 無による筋力の変化を対応のあるt検定またはWilcoxon検定で調 べた(p=0. 05). 【倫理的配慮,説明と同意】 対象者には研究の目的や方法を書面と口頭で説明し,書面で同意 を得た.なお,本研究は研究実施機関の倫理審査委員会の承認 済みである(承認番号:2024-5). 【結果】 計測結果をMean±SD(kgf)で示す.締め付け無し条件における 足趾把持力は,第1趾3.07±1.15,第2趾2.61±0.68,第3趾2.51 ±0.92,第4趾1.61±0.83,第5趾1.13±0.73であった.足趾圧迫 力は,第1趾10.96±4.99,第2趾5.13±2.39,第3趾5.20±3.27, 第4趾4.81±2.37,第5趾4.68±2.31であった. 締め付けあり条件との群間比較の結果,中足部の締め付けにより 第1趾および第2趾の把持力の増大が認められた(第1趾3.34±1.08 (9%増),第2趾3.14±1.14(20%増)). 【考察】 中足部の締め付けにより第1趾および第2趾の把持力が増大するこ とが分かった.これは,母趾屈筋群への圧迫による発揮筋力の増 大作用(宮本ら2014),横アーチの上昇による足部剛性の向上とア ライメント変化(萩島2000)が関与したと推論された.中足部の締 め付け作用のある機能靴下は第1,2趾の把持力を増大させること で動作能力の向上に寄与する可能性が示唆された.
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© 2024 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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