関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第43回関東甲信越ブロック理学療法士学会 ・ 第30回千葉県理学療法学術大会 合同大会
セッションID: P3-6-1
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一般演題
本校における客観的臨床能力試験(OSCE)の実施と今後の課題
*小嶋 陽香山崎 暁西井 琢馬
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キーワード: OSCE, 臨床実習, GPA
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抄録
【はじめに,目的】 近年,客観的臨床能力試験(以下,OSCE)を導入する養成校が増 えており,本校においても2023年よりOSCEを導入している.本 校のOSCEは法人内の理学療法士(以下,PT)5名に評価者を依頼 し,学生をランダムに5グループ(以下,Gr)に振り分け,各Grに評 価者1名,本校の教員で構成された模擬患者(以下,SP)1名を配 置して実施している.本研究の目的は,現在の実施方法の問題点 を明らかにし,実施方法を再検討することである. 【方法】 対象は2024年度理学療法学科3年生41名のうち,留年者4名を 除いた37名とした.方法は1)Grごとの学生のGPAに差はあるか,2) GrごとのOSCE得点に差はあるかを調べた.統計処理はExcel統 計ソフトを使用し,1)一元配置分散分析,2)Kruskal-Wallis検定 を行った. 【倫理的配慮,説明と同意】 対象者には研究の目的と研究の参加により個人に不利益が生じな いことを説明し同意を得た. 【結果】 各GrのGPAの平均値はGr 1(2.85±0.34), Gr 2(2.42±0.47), Gr 3(2.71±0.28),Gr 4(2.69±0.45),Gr 5(2.66±0.42)で あり,5群間に有意差は認められなかった.2)について,各Grの OSCE得点(80点満点)の平均値はGr 1(46.0±7.60),Gr 2(76.0 ±3.46),Gr 3(70.1±4.02),Gr 4(69.3±1.60),Gr 5(70.6± 3.69)であり,5群間に有意差を認めた(p<0.001). 【考察】 OSCEは学生の学習意欲を増し,臨床実習への取り組み態度を向 上させる効果が期待されるとされている一方で,評価者の判断が 大きく影響するため,評価者間による得点のバラつきにより,学生 の学習意欲を低下させてしまうことも懸念される.今回,Gr毎で 学生のGPAに有意差を認めないにも関わらず,得点にGr間差を認め た原因として,学校側のオリエンテーションが充分でないことによ り共通認識の不足が考えられる。先行研究では,マニュアルは評 価者の一致度を高めるためにも詳細に作成し,評価者が熟読する ことが必要であるとされているため,本校でもより詳細なマニュア ルの作成や入念なオリエンテーションの実施により,評価者間一 致度を向上させていく必要があると考える.引き続きOSCEの実 施方法を検討していき,より質の高い教育を学生に提供していき たいと考える.
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© 2024 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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