関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第43回関東甲信越ブロック理学療法士学会 ・ 第30回千葉県理学療法学術大会 合同大会
セッションID: P4-1-4
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一般演題
視床出血症例に対するリハビリテーション評価の経過報告
*出澤 鮎奈池田 彩花石橋 愛弓末広 ゆかり山本 竜也出澤 真乃介
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抄録
【はじめに】 視床出血は血腫の部位により5つの型に分類され,病型ごとに運 動感覚麻痺や運動失調,認知機能障害など,出現する症状およ びその程度に異なる特徴を持つ.背側型は軽度の運動感覚麻痺 を主症状とし,後外側型は重度の運動感覚障害や視床性失調症 候群,失語などの出現が特徴的であると報告されている.しか しながらリハビリテーション評価を用いた臨床所見の経過を詳 細に報告した例は乏しい.そこで本報告では,視床出血症例1名 を対象に,Fugl-Meyer Assessment(FMA)やScale for the assessment and rating of ataxia(SARA),改訂長谷川式簡 易知能評価(HDS-R),Trail Making Test(TMT),標準失語症 検査(SLTA)を用いて実施した検査結果の経過について報告する. 【症例紹介】 60歳代女性.右利き.発症前の生活は自立していた.左視床出 血を発症し入院,保存的治療が行われ,第28病日に回復期病院 へ転院となった. 【倫理的配慮】 症例報告の目的と意義について,対象者およびその家族に対し口 頭および書面にて説明し同意を得た. 【結果】 第28病日(1M)のCT画像所見にて視床背側部及び後外側部に高 吸収域を認めた.血腫サイズは約3.4mLであった.1Mにおいて, FMA運動項目:23点,FMA感覚項目:4点,SARA:検査不 可,HDS-R:18点,TMT-A:53秒,TMT-B:308秒,SLTA: 語列挙4語であった.第63病日(2M)にはFMA運動項目:37点, FMA感覚項目:4点,SARA:10.5点となり,第109病日(4M)に は,FMA運動項目:80点,FMA感覚項目:21点,SARA:5.5点, HDS-R:29点,TMT-A:35秒,TMT-B:126秒,SLTA:語列 挙11語であった. 【考察】 本症例は視床背側部および後外側部の損傷が疑われた視床出血 症例である.回復期病院への転院当初,重度の運動感覚麻痺を 認めていた(1M〕.経過途中より運動失調が顕在化したが(2M), 運動感覚麻痺および運動失調はともに軽度まで改善を認めた (4M).また当初,注意記憶障害と語想起の明らかな低下も出現 していたが(1M),4M時点では注意,記憶,語想起の機能が全 て年齢標準相当まで回復した.症状からは背側型または外側型の 判別は困難であったが,各検査を経時的に実施することで,本症 例の機能能力とその回復を客観的かつ詳細に評価できた.
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© 2024 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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