関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第43回関東甲信越ブロック理学療法士学会 ・ 第30回千葉県理学療法学術大会 合同大会
セッションID: P4-1-5
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一般演題
運動失調性片麻痺患者に対するBWSTT歩行トレーニングの影響  
~実用性歩行獲得のための難易度調整~
*我妻 亮弥真庭 弘樹藤井 大輔
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キーワード: BWSTT, 運動失調, 運動学習
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抄録
【はじめに】 運動失調の理学療法はPNF,緊縛法があり本症例に対して実施し たが成果は挙げられなかった.2021年の脳卒中ガイドラインでは 体重免荷式トレッドミル歩行練習(以下BWSTT)のエビデンス推奨 度Bと有効性が報告されているが,運動失調性歩行を呈する患者 にBWSTTで練習を行い歩行能力が向上した報告は少ない.本症 例にBWSTTで課題難易度を調整した歩行を繰り返し行った結果, 運動失調性歩行が改善したため報告する. 【症例紹介】 対象は左視床出血に伴う運動失調性片麻痺を呈した60歳代男性 である.右下肢に失調症状を呈し立脚期で股関節の安定性低下や 遊脚期のスティフネスによる歩行障害を認めた.X+53日時点で 麻痺側下肢Fugl Meyer Assessment(以下FMA)26点,表在 感覚2/10, 深部感覚5/10,Scale for the assessment and rating of ataxia(以下SARA)10.5点,Functional Ambulation Category(以下FAC)2点であった.また,歩行は三軸加速度計 (AYUMIEYE,早稲田エルダリーヘルス事業団製)を使用して計測 し,Root Mean Square(以下RMS)8.275,歩行周期のばらつき 0.075秒であった. 【倫理的配慮,説明と同意】 ヘルシンキ宣言に準拠し対象者には研究内容について十分な説明 を行い,同意を得た. 【介入内容と結果】 課題難易度調整を目的としたBWSTTの設定は免荷20%,歩行速 度1.5km/h,10分間2セット,徒手修正しながら実施した.最終 的に免荷0%(安全懸架のみ),歩行速度2.5㎞ /hとし4週間介入 を行った.X+83日に再評価を行いFMAの向上,感覚改善は認め なかった.SARA 6.5点,FAC 4点と改善を見せ,歩行計測では RMS 3.475,歩行周期のばらつき0.037秒となった. 【考察】 BWSTTの初期で体重免荷に加えて徒手的な運動修正を反復し下 肢スティフネス異常が出現しないよう歩行を促した結果,目標とし た歩行を学習することができたと考える.また,免荷0%まで免荷 率を漸減させたことによりさらなる運動学習が進み,歩行時RMS の減少を認めた可能性がある. 以上の事から,運動失調性歩行を改善するために運動学習状況を 考慮した課題難易度調整と正しい運動軌道で高頻度反復が貢献し た可能性が示唆された.
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© 2024 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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