関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第43回関東甲信越ブロック理学療法士学会 ・ 第30回千葉県理学療法学術大会 合同大会
セッションID: P4-6-3
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一般演題
非麻痺側下肢を先に振り出す歩行練習を用いた重度片麻痺の一症例
*西村 涼加藤 宗規
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キーワード: 重度片麻痺, KAFO, 歩行練習
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抄録
【目的】 重度運動麻痺により麻痺側下肢の振り出しが困難であった一症例 に対して,非麻痺側下肢を先に振り出した前型歩行を行い,練習 効果を検討した. 【症例紹介,評価,リーズニング】 70歳代男性.脳梗塞(右前頭葉・放線冠),重度左片麻痺.5病 日に当院へ転院し,リハビリテーションを開始した.26病日の基 本動作は開始時から変化なく,起居動作・座位保持が全介助,起 立・立位保持が重度介助であった.歩行は金属支柱付き長下肢装 具(以下,KAFO)を使用して後方から抱きかかえるようにした全介 助,麻痺側下肢の振り出しにも介助を要した.GCS:E4V5M6. SIAS下肢運動機能:0-0-0,表在・深部感覚:3,合計36点であっ た.そのほか注意障害・脱抑制・病識低下を認めた.従来の3動 作揃い型では麻痺側下肢の振り出しが困難であるため,非麻痺側 下肢先行の前型歩行により麻痺側下肢の振り出しが可能となると 考えられた. 【倫理的配慮,説明と同意】 本研究は症例の承諾を得て行い,当院研究倫理委員会の承認を得 た(番号:1603). 【介入内容と結果】 26病日に非麻痺側下肢を先に前に出した状態からの股関節伸展 と背伸びにより麻痺側下肢を振り出す前型の歩行練習に先駆けて のステップ練習を開始した.2日目からは転倒防止介助で可能,7 日目に監視で可能,10日目で終了した.歩行練習は4日目に平行 棒把持歩行を開始した.歩行練習は麻痺側下肢KAFOにて,①平 行棒把持,麻痺側補高2㎝,②平行棒手掌支持,補高2㎝,③サ イドケイン,補高2㎝,④サイドケイン,補高1㎝,⑤サイドケイ ン,補高なしの5段階の進行とした.段階の移行は理学療法士の 判断とした.各段階への移行は,3日目に段階②,5日目に段階③, 11日目に段階④,18日目に段階⑤に移行した.13日目には麻痺 側下肢を先に振り出すことが可能となったが,ふらつきが目立ち注 意障害も考慮して非麻痺側下肢を先に出すパターンを続けた.17 日目にはSIAS下肢運動機能:2-1-1,表在・深部感覚:3,合計 57点であった.30mを監視から転倒防止介助で歩行が可能となっ た. 【考察】 麻痺側下肢にKAFO装着しての平行棒歩行において,麻痺側下肢 を先に振り出すことが困難である場合,非麻痺側下肢を先に振り 出して股関節伸展と背伸び(または補高)により麻痺側下肢振り出 しを得る歩行を行うことが有効である可能性がある.
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© 2024 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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