抄録
【はじめに・目的】
Hybrid Assistive Limb(以下HAL)は,が体を動かそうとした際
に体表に漏れ出る体電位信号を皮膚に貼ったセンサーから読み取
り,装着者の意思に従った動作を実現することができる装着型機
器である.近年,HALを含むロボットスーツを使した介の効果を
す報告が増加傾向にあり,対象疾患などの条件はあるが,下肢タ
イプと単関節タイプのHALは診療報酬の対象となっている.今回
HAL腰タイプを使した理学療法介(以下 HALトレ)をう機会があ
り,腿頸部折術後患者の在院数に与える影響について検討したの
で報告する.
【方法】
対象は2023年12から2024年3,当院整形外科にて術を施した
腿頚部折患者である.受傷前に歩が可能かつ術後3時点で歩練習
が開始された症例を対象に通常の理学療法介に加えてHALトレを
実施した.HALトレ実施群(Ⅰ群)と,同条件を満たすHALトレを
実施しなかった2023年4から11までの院患者群(Ⅱ群)及び前年同
時期の院患者群(Ⅲ群)の在院数,術後リハビリテーション (以下
リハ)介数の平均を較した.対象期間のうち,院時点で認知症の
診断がある,もしくは著しい認知機能の低下を呈していた症例,
院期間中に理学療法介を妨げる重篤な状態変化や感染症等の理
由により隔離を必要とした症例,社会的要因により著しく院期間
が延した症例は除外した.なお,HALトレは術後4より開始し,1
回につき20分,週3回実施と設定した.
【倫理的配慮,説明と同意】
個情報の取り扱いについて分に配慮した.
【結果】
対象数はそれぞれⅠ群9名,Ⅱ群40名,Ⅲ群19名.在院数はⅠ群
23.8±5,Ⅱ群26.8±13.8,Ⅲ群30.3±15.4であった.リハ介数は
Ⅰ群18.4±4,Ⅱ群22.7±13.8,Ⅲ群25.4±15.6であった.今回較
した3群のうち,在院数及び術後リハ数はいずれにおいても HAL
トレを実施したⅠ群が最も短い結果となった.
【考察】
今回の検討では,腿頸部折術後患者において,HAL トレを実施
したことによる在院数の短縮効果が唆された.しかしながら,本
報告では HAL トレ以外のリハ介の効果については検討しておら
ず,他要素の関与は否定し得ない.今後,より精度のい報告がで
きるよう検討を続ける.