関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第43回関東甲信越ブロック理学療法士学会 ・ 第30回千葉県理学療法学術大会 合同大会
セッションID: P8-4-6
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一般演題
変形性膝関節症患者の内側広筋の筋輝度は膝伸展筋力と関連するか
*伊藤 鈴菜渋谷 悠太加藤 雄太齋藤 彰誉
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抄録
【はじめに,目的】 本研究の目的は,変形性膝関節症(Knee osteoarthritis:以 下,KOA)患者の膝伸展筋力と内側広筋(vastus medialis:以下, VM)の筋輝度との関連性を調査し,理学療法介入の一助とするこ とである. 【方法】 対象は2024年1月から2024年5月までに当院を受診し,KOAと 診断された患者46例92膝とした.調査項目は,基本情報として 性別,年齢,BMI,Kellgren-Lawrence分類(KL分類),客観 的評価としてVMの筋輝度,等尺性膝伸展筋力,患者立脚型評価 として膝関節痛(visual analog scale:以下,VAS)とした.VM の筋輝度評価は,SONIMAGE MX1(コニカミノルタ社製)を使 用し,リニア式電子スキャンプローブ(L14-4),Bモードで撮像し, 超音波画像診断装置に搭載されているHistogram 計測機能を用 いた.VMの測定方法は,先行研究に準じ,大転子と大腿骨外側結 節の間の30%遠位から内側に移動させたVM筋腹部にプローブを 当て計測した.等尺性膝伸展筋力評価は,ハンドヘルドダイナモ メーター(酒井医療株式会社製,モービィ100)を用いた.統計解 析は,等尺性膝伸展筋力とVMの筋輝度との関連性を調査するた め,性別,年齢,BMI,KL分類,VASを共変量として調整した spearmanの順位相関係数に基づく順位偏相関を実施した.統計 ソフトは,Rコマンダー 4.3.3を使用し,有意水準5%とした. 【倫理的配慮,説明と同意】 本研究はヘルシンキ宣言に基づき,当院倫理委員会の承認(承認 番号:2024034)を得て実施した. 【結果】 対象の平均年齢67(39 ~ 84)歳,平均BMI 23.6(3.0)kg/㎡, KL 1:40例,KL 2:34例,KL 3:15例,KL 4:3例であった. spearmanの順位相関係数に基づく順位偏相関の結果,VMの筋 輝度(r=-0.38,p=0.01)に有意な関連性を認めた. 【考察】 KOAにおいてX画像所見の進行度に関わらず,VMの筋輝度が高 い患者ほど膝伸展筋力が弱い傾向があることが明らかとなった. VMの筋輝度の高い状態は脂肪浸潤や結合組織の増加などを示し ている.筋の質に着目した理学療法の展開が必要である可能性が 示唆された. 【結論】 膝伸展筋力とVMの筋輝度には相関があることが明らかとなった.
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© 2024 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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