関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第43回関東甲信越ブロック理学療法士学会 ・ 第30回千葉県理学療法学術大会 合同大会
セッションID: P8-5-1
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一般演題
多職種と連携した歩行練習により,移動自立に至った右視床出血一症例
*松元 織衛松元 史織梶田 涼子滝澤 宏和
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キーワード: 多職種連携, 視床出血, 歩行
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抄録
【はじめに】 高度化・専門分化された医療において,円滑な多職種連携は患者 の心身機能回復や在院日数短縮,入院満足度向上に貢献するとい われている.回復期リハビリテーション病棟(以下:回リハ病棟)の 多施設研究では,入院時運動FIM 56点未満の脳卒中患者に対し, リハ職種以外の病棟スタッフによる追加練習の実施は退院時運動 FIMを改善することを明らかしている.今回,重度片麻痺,注意機 能障害により機能予後不良と予測した症例が,多職種の協力,合 同練習を通じADL自立に至った.治療経過と考察を加え報告する. 【症例紹介】 発症日+23日で回リハ病棟に転院した50代男性(右視床出血 左利 き).下肢BrsⅡ,SIAS:39/76点,ABMSⅡ:13/30点の重度片 麻痺.感覚は中等度鈍麻と痺れあり.FIM:36/126点.WAISⅣ: 処理速度IQ 68.移動場面では麻痺と左空間の注意機能低下によ り躓き,接触などの転倒リスクが高く,機能予後不良と予測した. 利き手の麻痺に固執し,作業療法士によるADL練習は拒否した為, セルフケア含めたADL練習を看護師と共同する必要があった. 【倫理的配慮】 ヘルシンキ宣言に基づき,対象者には口頭説明と同意書にて発表 の同意を得た.当院倫理委員会の承認を得た. 【介入内容】 理学療法では身体機能練習と装具療法で歩行再建を試みた.発 症日+75日に一部介助レベルで歩行能力獲得したため,看護師に よるセルフケア促しと歩行練習を開始した.言語聴覚士では視覚 探索課題を用いた歩行練習を実施し,ADL場面での左空間への 注意機能改善を図った.発症日+141日からCovid-19クラスター 発生し隔離,移動能力低下.発症日+151日に本人罹患し再度隔 離となったが,看護師による歩行練習を継続し移動能力の更なる 低下を予防.発症日+173日に杖と短下肢装具用いて近辺移動自 立した為,看護師による階段練習を開始した. 【結果】 身体機能は下肢BrsⅢ,SIAS:46/76点,ABMSⅡ:28/30点. FBS:48/56点.FIM:111/126点.注意機能はWAISⅣ:処理 速度IQ 75.中等度運動麻痺と左空間への注意機能低下は残存す るも,短下肢装具使用し独歩自立.発症日+203日目で自宅退院 となった. 【考察】 機能予後不良であったが,移動自立に至った.これは理学療法ア プローチに加え看護師によるセルフケア促しと練習量確保,言語 聴覚士による探索課題練習の結果,移動能力改善と左空間へ注意 を向ける代償戦略獲得が図れたからと考える.
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© 2024 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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