関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第43回関東甲信越ブロック理学療法士学会 ・ 第30回千葉県理学療法学術大会 合同大会
セッションID: O4-5
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一般演題
凍結肩における肩関節内転制限とShoulder36との関連
*田尻 遊佐藤 広大小野 文也増本 裕卓岡 知紀塩田 浩平後藤 義治山本 一輝大森 章一寺門 淳
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抄録
【はじめに,目的】 凍結肩は退行性変化を基盤に発症し,関節可動域制限を主症状と して日常生活動作やQuality of life(QOL)低下に影響する疾患で ある.臨床において,肩関節内転制限(内転制限)により下垂位保 持が困難になり可動域改善に期間を要する症例を多く経験する. 我々は過去に内転制限は凍結肩患者の40%に発生し,内転制限に より肩関節屈曲・外旋角度が低下すると報告した.近年,患者主 体の医療の重要性が提唱され,患者立脚型の評価法が用いられて おり,肩関節疾患においてはShoulder36(Sh36)が推奨されてい る.しかし,凍結肩における内転制限とSh36との関連性について の報告は渉猟し得ない.そこで本研究の目的は内転制限とSh36 との関連を明らかにする事とした. 【方法】 対象は,2023年8月~ 2024年4月までに当院で凍結肩と診断さ れた61名61肩(男性21名,女性40名,平均年齢60.7±12.9歳)と した.炎症期(安静時痛・夜間時痛), ISAKOSの基準に該当した 拘縮肩,頸部疾患,両側症例は除外した.調査項目は年齢,性 別,Sh36,内転制限テストとした.統計解析は内転制限陽性群 (陽性群),内転制限陰性群(陰性群)の2群に分け,年齢,Sh36 をMannWhitneyのU検定.性別をχ2検定で実施した.有意水 準は5%とした. 【倫理的配慮,説明と同意】 本研究はヘルシンキ宣言に基づき,当院倫理規則を厳守して実施 した. 【結果】 対象61肩のうち,陽性群27肩(44%),陰性群34肩(56%)であっ た.Sh36における群間比較zzの結果,可動域:陽性群3.1±0.6, 陰性群3.4±0.6,筋力:陽性群2.6±0.7,陰性群3.1±0.8で陰性 群が有意に高値であった(p<0.05).疼痛:陽性群3.2±0.5,陰 性群3.3±0.7,健康感:陽性群3.6±0.4,陰性群3.7±0.5,日常 生活動作:陽性群3.3±0.5,陰性群3.5±0.6,スポーツ:陽性群2.2 ±1.0,陰性群2.6±0.9では有意差を認めなかった(p>0.05). 【考察】 本研究において,陰性群ではSh36における可動域,筋力の領域で 有意に高値を示した.先行研究においてSh36における可動域, 筋力の領域と自動肩関節可動域の間に相関を認めるとされており 本研究と同様の結果となった.その他の領域で有意差出なかった 要因として,炎症期を除外している事,内転制限の影響を受けづ らい項目があった事,スポーツ活動を行っている症例が少ない事 が挙げられる.本研究において内転制限が凍結肩患者のQOLにも 関与する可能性があり,今後は内転制限の改善がQOLに影響を与 えるか検討していきたい.
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© 2024 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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