関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第44回関東甲信越ブロック理学療法士学会・第28回山梨県理学療法士会学術集会 合同学会
セッションID: P-03-06
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一般演題(ポスター)
上腕神経叢下位型麻痺と関節リウマチにより手指の巧緻機能獲得に難治した症例
*鵜澤 裕貴
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抄録

【はじめに、目的】

本症例は転倒後の肩関節脱臼により生じた右上腕神経叢下位方麻痺と既往の関節リウマチにより手指の巧緻動作機能低下がみられた.母指内転制動を目的としたテーピングを実施することで手指の巧緻動作の改善が見られた為ここに報告する.

【症例紹介、評価、リーズニング】

50 代女性.職業は外来の看護師である.既往歴に関節リウマチがあり,Steinbrocker の stage3 である.自宅で腕立て伏せをしている際に転倒し受傷.他院の救急外来を受診し徒手整復を実施.受傷直後より右肘遠位の感覚脱出及び脱力感を自覚.2 日後当院を受診し,理学療法を開始した. 三角巾を装着した状態で来院.主訴は「右肘から下が痺れて力が入らない」である. 上肢の ROM-t(他動/自動)° は, 肩関節屈曲 180/90,外転 180/80,肘屈曲 145/90,肘伸展 0/-50,手関節背屈 70/-10,であった.MMT(右のみ記載)肩外転 3,肘屈曲 2,伸展 2 前腕回内 2,回外 3,手背屈 1,掌屈 3,MP 屈曲 2,PIP 屈曲 1, DIP 屈曲 2,MP 伸展 3,外転 2,内転 3,母指 MP 屈曲 3,IP 屈曲 2,伸展 3,外転 3,内転 2,対立 2 であり,握力は測定不能であった.表在感覚は肘より遠位の感覚鈍麻 3/10 であった.整形外科的テストにて Upper limb neuro-dynamics test1 のみ陽性が見られ,他の神経伸張テストは陰性であった.問題点として,手指の巧緻機能低下および上肢の全体的な筋出力低下が挙げられる.

【倫理的配慮、説明と同意】

ヘルシンキ宣言に基づき,対象者に症例発表について十分な説明をした上で,同意を得た.

【介入内容と結果】

週に 2 回頻度で介入を開始.神経の賦活を目的とした正中神経スライダーを実施.そこから手関節背屈および示指と中指の屈曲収縮練習を実施.4 週後には上肢全体的な筋出力の改善が見られた.しかし把持動作では母指内転の代償を行い,示指と中指屈曲の収縮を阻害していた.そのため,母指内転制動を目的にテーピングを実施.母指内転を制動した状態での示指と中指の収縮練習を実施.直後より示指と中指屈曲の筋出力の向上が見られた.

【考察】

本症例は,外傷性の神経病変による上肢の筋出力低下と既往の関節リウマチによって示指と中指の巧緻動作に問題が生じたと考えられる.示指と中指の収縮を阻害していた母指内転の代償を抑制することで手根骨のアライメントが改善.それにより示指と中指の筋出力が向上したと考えられる.

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