主催: 日本理学療法士協会 関東甲信越ブロック協議会, 一般社団法人 山梨県理学療法士会
会議名: 第44回関東甲信越ブロック理学療法士学会・第28回山梨県理学療法士会学術集会 合同学会
開催地: 山梨県
開催日: 2025/11/15 - 2025/11/16
【はじめに、目的】
脳卒中は長期的な治療計画になりやすく、予後予測の重要性は高い。急性期からの予後予測として、Time to Walking Independently after STroke(以下TWIST)ツールが提唱されている。TWISTツールとは、発症 1 週間での年齢、MRC、BBS の 3 つの項目で歩行自立度を予測し、発症早期から簡潔に評価することができる。しかし、臨床場面への実装が進んでいない現状である。今回、 TWIST ツールを用いた発症早期からの予後予測により基本動作練習を中心に介入し介助量軽減した被殻出血症例を報告する。
【症例紹介、評価、リーズニング】
病前 ADL 自立の 70 歳代男性。異常行動、不明言動を認め救急要請し、右被殻出血と診断され入院となった。7 病日に症状が安定し安静制限解除となり介入開始し、22 病日に回復期病院へ転院となった。 初期評価は、NIHSS10 点、SIAS 上下肢 4、左膝伸展MRC3、BBS5点、SCP4 点(全項目で加点)、BI5 点、FAC1 であった。また、左半側空間無視や注意機能低下、自発性低下を認めた。基本動作や歩行に中等度介助が必要であり、特に移乗や方向転換での回転動作に介助を要した。 リーズニングでは、前頭葉機能低下や Pusher 現象による姿勢異常により、介助量が増加していると考えた。TWIST スコアは 2 点であり、将来的には歩行獲得可能だが、早期獲得は困難であると予測した。そこで LTG(9 週間)を歩行自立、STG(3~4 週間)を基本動作の介助量軽減、ADL 向上とし、基本動作練習を中心に介入した。
【倫理的配慮、説明と同意】
ヘルシンキ宣言を遵守し、個人情報の保護に配慮し、本人及び家族へ説明し書面にて同意を得た。
【介入内容と結果】
1 週目は、自発性低下の改善を目標に立位練習や歩行練習を中心に介入した。2 週目から姿勢異常改善と基本動作の介助量軽減を目標に、重心移動練習や基本動作練習を中心に介入した。 最終評価は、SIAS 上下肢 4、MRC 四肢 4、SCP4.5 点、BI35 点、 FAC1 であった。基本動作は監視から軽介助、移乗動作のみ中等度介助、歩行には中等度介助が必要であった。
【考察】
TWIST ツールは経験に基づく予測より歩行獲得期間の予測の正確性が高いと報告がある。今回、早期に歩行獲得期間が予測できたことで、基本動作練習を中心に介入し、ADL 向上や介助量軽減に繋がったと考える。TWIST ツールを用いることは、療法士の経験年数やリーズニング能力に左右されず、効果的な目標設定や治療方針の意思決定の支援に有用であった。