主催: 日本理学療法士協会 関東甲信越ブロック協議会, 一般社団法人 山梨県理学療法士会
会議名: 第44回関東甲信越ブロック理学療法士学会・第28回山梨県理学療法士会学術集会 合同学会
開催地: 山梨県
開催日: 2025/11/15 - 2025/11/16
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呼吸理学療法(respiratory physiotherapy/physical therapy)とは,「呼吸障害に対する理学療法の呼称および略称さらには総称であり,呼吸障害の予防と治療のために適用される理学療法の手段」である.また,「リラクセーションや呼吸練習,呼吸筋トレーニング,胸郭可動域練習,運動療法,気道クリアランス法など,適用されるあらゆる手段を包括したもの」と定義され,その主な目的は運動耐容能の向上,呼吸困難の軽減,および QOL 向上である.かつては排痰を主目的とした「肺理学療法」や「胸部理学療法」と呼ばれていたが,現在では学際的な医療チームによる多面的かつ包括的な呼吸リハビリテーションへと発展し,その構成要素の一つとして「呼吸理学療法」の名称で統一され,広く使用されている.
近年,呼吸理学療法は目覚ましい発展を遂げている.集中治療領域における早期離床プログラムの導入や,重症 COVID-19 に対する体位呼吸療法の普及,さらには間質性肺疾患に対する運動療法の効果が認められるなど,その対象疾患は広がり,有効性も実証されている.また,超高齢社会を背景に,呼吸サルコペニアや医療介護関連肺炎といった老年期に特有の疾患・障害への対応も重要な課題となっている.
このように発展を続ける呼吸理学療法だが,筆者は臨床現場において,その技術が患者に対して十分に適用されていないケースが存在すると考えている.例えば,コンディショニング手技として,呼吸補助筋のストレッチやリラクセーションを行わず,呼吸介助手技のみを実施していないだろうか.運動療法や筋力トレーニングにおいても,有効限界まで十分な負荷量を設定できているであろうか.歩行練習の際に患者の歩行速度を測定し,生体反応を評価した上で負荷量を設定しているであろうか.また,患者の呼吸困難を自覚的・質的に適切に評価し,捉えられているであろうか.これらの点を踏まえると,臨床現場における呼吸理学療法の技術水準を担保することは,今後増加し続ける Multi-morbidity(多疾患併存)の高齢患者に対する理学療法の発展において重要な課題であると考える.
本講演では、呼吸理学療法のこれまでの発展や現在のトピックスについて概説し、今後さらに普及、発展するために理学療法士が日常臨床で実践すべき内容について解説する。