本誌をご覧いただいている皆様に、心より御礼申し上げます。
精神・心理領域における理学療法の歩みを振り返ると、2010年の部門発足以来、私たちは多くの仲間とともに、理解の少ない環境の中で実践を積み重ね、少しずつ領域を切り拓いてきました。自然災害や社会情勢の変化、そしてコロナ禍といった大きな出来事を経て、精神医療における身体アプローチの重要性はむしろ明確になり、私たちの活動は着実に広がりを見せております。
近年の診療報酬改定では、認知症治療病棟や精神科療養病棟、精神科救急においても理学療法が制度的に位置づけられ、精神障害を有する方々の身体機能・活動に焦点を当てる意義が広く認められるようになりました。また、働く人々や学生のメンタルヘルスへの関心が高まる中、身体活動や運動療法が果たす役割は、医療の枠を超えて社会全体へと広がりつつあります。
とりわけ、精神障害を有する方々の「就労支援」は、今後の重要なテーマの一つです。身体機能や活動能力の向上は、単に日常生活の改善にとどまらず、働く力の回復や職場での持続的な参加を支える基盤となります。理学療法士が身体面から就労を支援する意義は大きく、医療・福祉・労働の各領域と連携しながら、より包括的な支援を構築していくことが求められています。
こうした背景のもと、本学会は専門性の深化と学術基盤の強化を目指し、本誌の発刊という大きな一歩を踏み出しました。本誌では、精神疾患を有する方への理学療法、メンタルヘルスの維持・向上に寄与する身体活動、社会参加や就労支援に関する取り組みなど、多様な視点から学術的知見を蓄積していくことを目指しています。
本号に掲載された研究は、精神・心理領域理学療法の可能性を広げる重要な成果です。研究者・臨床家の皆様の不断の努力に深く敬意を表するとともに、本誌が皆様の実践と研究をつなぐ場として発展していくことを願っております。
最後に、本誌の発刊にご尽力いただいた著者、査読者、編集委員会の皆様に心より感謝申し上げます。精神・心理領域理学療法の未来をともに創り上げていくため、今後とも温かいご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。