精神・心理領域理学療法学
Online ISSN : 2758-6103
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運動器疾患を併存した統合失調症患者の日常生活活動能力に与える身体リハビリテーションの影響
濱田 賢二松本 直人
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2026 年 3 巻 1 号 p. 32-36

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抄録

【目的】本研究の目的は,運動器疾患を併存した統合失調症患者に対して,身体リハビリテーション(以下,身体リハとする)が日常生活活動(以下,ADLとする)能力に与える影響を,Barthel Index(以下,BIとする)とFunctional Independence Measure(以下,FIMとする)の2つの評価尺度を用いて明らかにすること.

【方法】2021年4月から2022年3月に当院へ入院し身体リハ依頼があった357例のうち,運動器疾患を併存した統合失調症患者35名を対象とした.精神疾患の分類にはICD-10を用いた.身体リハ前後のADL能力をBIおよびFIMで評価した.統計解析には対応のあるt検定を用い,有意水準は5%とした.

【結果】対象者の基本属性を表1に示す.対象者は計35名であり,男性22名(62.9%),女性13名(37.1%)であった.平均年齢は61.1歳(±11.9),平均身長は162.3 cm(±10.1),平均体重は59.2 kg(±17.2),平均BMIは22.4(±5.4)であった.全例が統合失調症の診断を有しており,運動器疾患を併存している.運動器疾患の発症からリハビリテーション開始までの期間の中央値は13.2日[1.0-23.5],リハビリテーションの実施期間の中央値は103.5日[56.5-160.0]であった.BIの平均値は身体リハ開始前が65.6±30.0点,終了時が81.3±21.1点であり,有意な向上(p<0.001)が見られた.FIMの平均値も同様に,開始前が90.1±28.9点,終了時が104.3±21.1点であり,有意な差(p<0.001)が確認された.

【結語】統合失調症に運動器疾患が併存した患者に対する身体リハは,ADL能力の向上に有益な影響を与える可能性が示唆された.

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