公共政策研究
Online ISSN : 2434-5180
Print ISSN : 2186-5868
研究ノート
医療サービスの質と第三者評価に関する考察
堀 真奈美
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2001 年 1 巻 p. 198-212

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抄録

近年,医療過誤訴訟の増加,レセプト開示やカルテ開示の法制化の動きなど患者の権利意識の向上を背景として,医療サービスの質がこれまで以上に問われるようになっている。このような中,サービスの品質管理という観点からリスクマネジメントやEBM(科学的根拠に基づく医療)の推進に積極的な姿勢を示す医療機関も少しずつではあるが表れるようになっている。政第レベルでも,医療保険の財政悪化を背景として医療代抑制と両立する形で質確保・向上(良質な医療の効率的な提供)が求められている。実際,医療保検改革の審議においてもその重要性は認識されているが,「医療従事者の資質の向上を図る」や「情報提供の堆進」が漠然と唱えられるにすぎず,具休的な議論には発展していない。また,そもそも医療サービスの質が何を示しているのか,そしてどのように評価するのかに対する合意が得られていない。

そこで,本研究は,医療サービスの質およびその評価方法の整理分類をするともに,その間題を考える上で有用な考察フレームワークの提供を第一の目的とする。さらに,医療サーヒスの質の評価システムを積極的に導入している米国の現状動向の分析を通じて第三者評価の利点・課題を検討する。

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© 2001 日本公共政策学会
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